素直な君と一緒だと ページ9
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「あんなに怒られると思わなかったな」
『でも大人ならああいう反応するのも無理ないよ…だってずっと黙ってたんだし』
「それもそうか」
事務所に付き合ってること、そして結婚したいと思ってることを報告しに行ったら双方のマネージャーに怒られた。
なんでもっと早く言わなかったんだ
自分達が見られる仕事をしてるっていう意識はないのか
言われて当然のことを30分くらい聞き続けて、最終的に「これからは自分達の努力次第だから」というところで落ち着いた。
これから仕事で、お互い別の現場に向かった。
到着したら少し時間があったし、近くの喫茶店にでも行くかなと思ってもう一度外に出たらヨシキが来た。
「お、梅。お疲れ」
「お疲れ」
「どっか行くの?」
「いや、まだ時間あるしなと思って」
「そうでもないぞ、今日10分前倒しだし」
「まじでか」
またスタジオに引き返してブースに入った。
「なんか疲れてる?」
「ああ、うん。言ってなかったんだけどさ、今Aと付き合ってて」
「そうなんだ。なんとなく気付いてたけど」
「まじで?」
「うん。Aに対しては優しい顔してるし。で、なに。喧嘩?」
「いや…」
今日あった出来事を話したらヨシキは爆笑してた。
全然笑えねえよ。
「それもいい思い出じゃん。ただ、梅がAのことめっちゃ好きなのは分かった」
「うるせーな」
「照れ隠しが怖いんだよ」
今まで隠さないといけないと思っていたけど、肩の荷がおりた。事務所とは色々あったけど、それはそれで確かにいい思い出。
仕事が終わって家に帰ると、先にAが帰ってきていた。
『おかえり!』
「ただいま」
『今日ね、現場行ったら江口さんがね〜』
それからノンストップで今日あった出来事を話すA、それを聞きながら明日の準備をした。
ずっと話し続けていたのにいきなり話が途絶えた。
「どうした?」
『なんか、幸せ〜って思って』
「急に?」
『うん』
「なんだそれ」
『うう…裕一郎好き!』
なんとも急。飛びついてきて受け止めた。
ぐりぐり頭を押し付けてきて、やっと顔を上げたと思ったら髪がボサボサになっていた。
「ボサボサじゃん」
『えへへ』
「可愛いな、ほんと」
『なに急に。怖いんだけど』
「思ったことそのまま言っただけ」
『やけに素直だね』
「今日はそういう日なんだよ」
『ふふ、なにそれ』
たまにはそういう日があっていい。
素直でまっすぐ生きるAと一緒にいると、自分もそうあれる気がした。
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p@n@(プロフ) - のぞみさん» コメントありがとうございます。このお話に関しては、続きは作っておりません…今書いてるものが完結したら、似たようなお話にはなってしまうかもしれませんが、梅原さんとのお話を書く予定です!コメントして頂いたのに申し訳ございません。 (2021年5月29日 10時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
のぞみ - 面白いです。続きはないんですか? (2021年5月29日 8時) (レス) id: 90a3a483bc (このIDを非表示/違反報告)
chimo(プロフ) - 永遠に幸あれ完結お疲れ様でした!とてもほっこりして素敵な作品でした!次回作西山さんということで楽しみにしておりました!引き続き愛読させて頂きます! (2021年1月31日 16時) (レス) id: f2165dc798 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - めちゃくちゃドッキドキやな…って感じです。ありがとうございます…… (2021年1月25日 23時) (レス) id: e5cbfbc5c1 (このIDを非表示/違反報告)
p@n@(プロフ) - さきさん» コメント、リクエストありがとうございました!!書いていてとてもドキドキしました……これからもよろしくお願い致します! (2021年1月25日 23時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:p@n@ | 作成日時:2021年1月9日 0時