王様と召使い その3 ページ12
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翌日、僕は学校の昼休みに影山くんに声をかけられた。
「話したいことがあるんだが……」
「いいよ。どうしたの?」
通行を妨げないよう、廊下の端に移動して、影山くんの話を聞く。
「なあ、及川さんのお気に入りになるにはどうしたらいい……!?」
「え!?」
思わぬ質問に驚きつつ、昨日の及川さんの発言を思い出す。
(あのことを話せば、影山くんは理解してくれるかな)
真っ直ぐに僕の目を見つめる影山くんは、きっと僕と同じで、及川さんを尊敬しているのだ。ただ、僕と違うのは、バレーが上手いということ。
「あのね、影山くん。及川さんが僕に教えてくれてるのは、きっと僕が下手くそだからなんだと思うの。逆に、影山くんはバレーがすごく上手いから、及川さんは影山くんに抜かされちゃうんじゃないかって心配みたいなんだ」
影山くんはぽかんとした表情のまま、そうなのか、とだけ言って考え込んでしまった。
「ねえ、影山くん。そしたら、僕が影山くんの分まで教えてもらうよ。上手くできるかわからないけど、及川さんが僕に教えてくれたことを、僕が影山くんに教えるの。どうかな?」
「いいのか!?」
目を輝かせる影山くんに、僕は笑って頷いてみせる。
「じゃあ、よろしく頼む」
「うん、任せて!」
その日の部活後、いつも通り及川に教えてもらい、その後僕が教わったことを影山くんに教えた。僕は及川さんが教えてくれたことを実践して見せることは出来なかったけど、影山くんは僕が言葉で説明しただけで、すぐにできるようになっていた。
「影山くん、やっぱり凄いね! 全部僕より先にできるようになっちゃったよ」
「清水のおかげだ。ありがとうな」
影山くんの口角が少しだけ上がる。僕は普段あまり笑うことのない影山くんの笑顔を見るのは初めてだった。
そうやって僕達は、徐々に仲良くなっていった。しかし、僕達が1年生だった頃の2年生は、及川さんに気に入られている僕が気に入らない人もいたみたいで、3年生が卒業した途端、必要以上にいびられた時もあった。そんな時には影山くんが庇ってくれたり。それから、今度は影山くんが、僕に色々なことを教えてくれるようになったりと、いつしか僕達は、互いの相棒のような存在になっていた。
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ハムちゃん大先生(プロフ) - 優麻さん» 了解しました!この物語中に織り交ぜたいと思います。今後の展開にご期待ください! (2020年1月1日 18時) (レス) id: 2a7a4ab774 (このIDを非表示/違反報告)
優麻 - ハムちゃん大先生さん» ぁ、あ、ありがとうございます!及川さんと岩ちゃんと三角関係が欲しいとか言っても…? (2019年11月19日 22時) (レス) id: fe7d430fbe (このIDを非表示/違反報告)
ハムちゃん大先生(プロフ) - 優麻さん» リクエストも募集しておりますので、こんな話が読みたい!という希望がありましたらなんなりとお申し付けください。リクエストは作中に織り交ぜたり、次回作の参考にさせて頂きますので、お気軽によろしくお願いします! (2019年11月19日 12時) (レス) id: 2a7a4ab774 (このIDを非表示/違反報告)
優麻 - ハムちゃん大先生さん» みぎゃああああああありがとうございます!楽しみにしてます!すごい分かります。どうしても悲恋が書きたくなるんですよね。私は書けないんですけど! (2019年11月11日 20時) (レス) id: fe7d430fbe (このIDを非表示/違反報告)
ハムちゃん大先生(プロフ) - 優麻さん» 木兎さんと国見くんもかっこいいですよね! 出来ればこの2人も、物語の中に登場して夢主くん達と絡むようにしたいと思います! (2019年11月10日 17時) (レス) id: 2a7a4ab774 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハムちゃん大先生 | 作成日時:2019年11月5日 22時