【d!】とろけるような恋の味【wrwrd】 (ページ29)

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結局持ってきてしまった。
騙されていたらなんて考えてもチーノが喜んだ時の顔しか想像できず、それがしっくりきてしまって持ってくるしかなかった。
なんなら2月に入ってからは連日練習していたし、この間はそれがバレかけたし。

騙されていてもいい。
チーノが喜んでくれる可能性が一ミリでもあるなら私はチーノにチョコレートを渡す。
なんならたまには私の方から会いに行ってあげよう、そう思って "今日は放課後まで会いに来ちゃダメ、放課後も教室で待ってること" と連絡をした。
放課後まで会えないなんて寂しいとかなんとか言ってたけど朝も昼も会いに来なかったからちゃんと大人しくしてるみたいだ。
ショッピくんからチーノがべそべそしててウザかった、と後日言われた時は少し申し訳なかったが。

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『チーノくん、会いに来たよ』

机に伏せめしょ、としているチーノに声を掛ければバッと顔を上げこちらに駆け寄ってくる。
その姿にやっぱり犬だなぁなんて笑っていれば私の周りをくるくると回って後ろに隠したチョコレートを見つけたのか目の前でピタッと止まり目を輝かせているチーノ。

『はい、欲しがってたチョコレートだよ』
「やった〜〜〜！！！ずっと待ってたんです〜！！あかん、今日朝も昼も会えへんくて諦めてたからめっちゃ嬉しい...」

チョコレートを抱き締め蹲ったチーノの頭を撫でてやればその手をきゅっと握られた。
すくっとチーノが立ち上がりそれに合わせて彼を見上げれば、いつにない真剣な表情がそこにあった。

「先輩、好きです。大好きなんです、A先輩が。ねぇ、先輩も僕のこと好きでしょ？僕頑張ったんですよ、普通に告白してもきっと断られるから先輩が断れないくらい好きになってもらおうとたくさんアピールしたんやから。」

確かにいつも通り過ごしていただけだったらチーノが好きなこと(自分の気持ち)を受け入れずに自覚しないままだったかもしれない。
可愛い後輩として壁を作って止めていたものを壊して意識させてくれたのはチーノだ。
年上なのに情けないなぁと笑えば急に近くなったチーノの顔。
それは短いリップ音と共に離れていった。

「A先輩、好きです。もちろん付き合ってくれるでしょ？」

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𝑁𝑒𝑥𝑡 ❥❥❥ 𝑃𝑜𝑠𝑡𝑠𝑐𝑟𝑖𝑝𝑡

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