【d!】とろけるような恋の味【wrwrd】 (ページ3)

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zm＿ビタースイートページ3

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『あ、居た！ゾム〜！！』

大好きな声に呼ばれて振り向けばそこにはスクールバッグを持ったAが居た。手を振りながら珍しく結んでいた髪を揺らしてこちらに向かってくるA。

『ゾム探してたんだよ！今みんなにチョコ配ってたんだけどゾムもいる？って言っても市販品を小分けにしただけなんだけど』

みんなに配るから手抜きしちゃった〜でも袋に小分けにするの大変だったんだよ〜と可愛く笑うAに全力でいる！と返せば彼女はスクールバッグの中に手を入れた。
みんなに配っているものだから間違っても本命なんかでは無いけれど、それでもAから貰えるだけ嬉しかった。好きな女からのチョコなら義理だって余り物だってそりゃ嬉しいに決まってる...と思っていたのだが、

『ごめんゾム...さっき隣のクラスの子にあげたので最後だったみたい...』
「えっ...俺のないん...？」

きゅっと胸が嫌な音を立てて痛む。
まぁみんなに配ってたのだから仕方ない、と情けなく泣き叫びたいような胸の痛みを隠しながら笑えばAも珍しく不器用な顔で笑う。
いつも全力の可愛い顔で笑っているのに。
ショックを隠せなかった自分のせいだと考えれば余計に胸は痛む。

『あ、そうだ！アーモンドチョコ！』

ゲームやアニメであればピコンッ！と効果音の入りそうなジェスチャーをしながら、またスクールバッグに手を入れたAは中からアーモンドチョコの箱を取りだした。

『これ！私の食べかけになっちゃうんだけどあげる！』

チョコには変わらないしゾムにしかあげれないから特別だね！と言って彼女は自分に背を向けて走り去っていく。
その背中と揺れる髪を姿が見えなくなるまで眺めていた。
姿が見えなくなりふと視線を手元に落とせば彼女に渡されたアーモンドチョコ。

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