【d!】とろけるような恋の味【wrwrd】 (ページ1)

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ni＿貴方の隣とチョコレートページ1

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今年もこの季節がやってきた。
恋する女の子にほんのちょっぴり勇気を与えてくれるバレンタイン。
告白出来なくてもチョコを渡せただけでアピールは出来たかな、意識してもらえるかな、とか言葉に出来ないけどメッセージは添えてみたりしようかな、とか。
でも今年はもう少しだけ勇気をください。

＿＿私にあの人へ言葉を届ける勇気を

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もうすぐ兄さんが帰ってくる時間だ。
兄さんとは従兄弟で彼が大学に入るまでは近所に住んでいた。
私がチョコレートを渡したいからという理由でバレンタインの時期には日付が前後しても必ずこっちに帰って来てくれるのは兄さんが社会人になった今でも続いている。
でも今年はどうしても当日が良かった。仕事があるのに平日である14日に帰って来て欲しいなんて我儘を言うのは申し訳なかったけど、それでも兄さんは遅くなってまうけどそれでもええんやったら、と快く了承してくれた。

俺の時間はええけど大学受験もあるのに大丈夫なんか？と聞かれたが志望校が試験日が早く先月のうちに試験は終わり結果ももうすぐ来る。やれる事はやったし手応えもあった。偏差値的にも無理のないところを選んだので結果への不安は無い、と答えれば合格したらご褒美にどっか連れてったらなあかんな、と通話越しに笑っていたのは記憶に新しい。
むしろ試験が終わってから今日までの兄さんに渡すチョコレート作りの練習や今日ちゃんと上手に作れるかどうかの方が不安で気が気じゃなかった。
なんなら今だって味見したけど本当に大丈夫かな、とか箱に入れてから崩れたりしてないかなとか不安でいっぱいだ。

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

「はーい......あらぁ！今A呼ぶわね！」

テレビを付けたり消したり立ったり座ったりと落ち着かないまま過ごして居ればインターホンが鳴った。
恐らく兄さんが来たんだろうと思い母が玄関に向かうのを眺めながらキッチンへと向かい冷蔵庫からラッピングしたチョコレートを取り出す。
そして母と入れ違いで玄関へと向かえばやはり兄さんがいた。

『に、兄さん久しぶり...ちょっと話したいからあがって...？』

少し言葉が詰まってしまったが、なんとか平静を装い兄さんを自室へと連れていく。
まだチョコレートは渡さない。でもチョコレートは隠さない。どうせバレるから。だけど恥ずかしくて部屋に着くまで兄さんの顔を見られなかった。

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