スイミング・フール １

君のわたあめになりたいよ ページ29

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わたあめの列は思いの外すぐに見つかって、人もそんなに並んでいなかった。
いつもならラッキーだって駆け込むけれど、あの場所に戻りたくないと思ってしまう今は、もう少し並んでいたい気分だった。


すぐ隣に見つけたりんご飴の屋台は、子供が沢山並んでいる。今日はりんご飴にしようかなあ。



「わたあめじゃないの？」



人混みに紛れて聞こえた君の声。


何で？わざと逃げたのに。


何でミンハオくんがここにいるの？



「一人じゃ危ないじゃん。あんた危なっかしいから、連れてかれそう」


「だ、大丈夫だから、戻ってて…」


「…」



じっと見つめられたけれど気づかないふりをして列を進む。


気づいたらミンハオくんは隣からいなくなっていた。すぐ隣からは。


少し間をあけて、隣のわたあめの屋台に並ぶミンハオくん。え、ミンハオくんもわたあめ食べたかったの？？


りんご飴を買うと、先に買い終えていたミンハオくんが列の後ろで待ってくれていた。



「…食べないの？わたあめ」


「これあんたのだよ。はい」


「えっ、でも私…」


「わたあめとりんご飴で迷ってたんじゃないの？食いたいならどっちも食べなよ、我慢しないで」



えええー…私相当食いしん坊に思われてる…！？いや、当たってるんだけども。



「ありがとう…私も何か買うよ、何食べたい？」


「いらない。コーラで腹いっぱい」



飲み物だけでお腹いっぱいになる人初めて見た…だから細いんだな…。


溶けそうなりんご飴を舐めながら、わたあめもばくばく食べる私とは正反対だ。


それにしても今日のわたあめは格別に甘い。ミンハオくんが買ってくれたからかな。




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