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俊治さんのリクエストで夜ご飯にオムライスをご馳走することに。
『…あれ？卵無い』
冷蔵庫を覗くも材料が足りない事に気づく。
俊治「無い？まじか。じゃあ俺ちょっとスーパー行ってくるわ」
『いいよ俊治さん私行ってくるから。ゆっくりしてて？』
由樹「俺車出そうか？」
『すぐそこだから。笑
ありがと。散歩にもなるし歩いて行ってくるね』
男二人家に残ってもらい、財布片手に玄関に向かう。
この辺りは緑も多くて空気も美味しい。
夕方のこの時間帯は散歩に丁度いい。
気持ちいいな。
外に出るとフワッと冷たい空気に体を包まれる。
季節は冬で寒いけど、何だかとても心地良かった。
『…あ、しまった』
ポケットを触るとスマホが無いことに気づく。
スーパーはすぐそこだし、正直無くても困らない。
でも材料の事で連絡必要になるかもしれないし…
足取り軽い私は進めた足を止めて来た道を戻った。
…そのまま戻らなければ良かったのに。
この時の自分の行動を後悔することになるなんて。
カラカラと横戸のドアを開けて靴を脱ぎ、居間に向かう。
テレビの音と一緒に聞こえてくる由樹と俊治さんの声。
ドアを開けようと手をかけたその時
由樹「…なぁ、そろそろAにあの事伝えね？」
いつもより低い由樹の声。
呼ばれた自分の名前に思わず手が止まる。
俊治「…急にどうした？」
由樹「今日母さんの墓参り行った時のAの表情見てたらさ。何か…うん。今なんじゃないかって思っちゃったんだよ」
俊治「…俺は、別に言う必要ないって思ってる」
由樹「いや時期を見て伝えるって前言ってたろ」
俊治「考え変わった。やっぱり知らなくて良いこともあんだよ。だからお前勝手な事すんなよ？」
由樹「…本気で言ってる？それ」
段々険悪な雰囲気になってる二人。
一体何の話か分からない。
きっと聞いちゃいけない話なのは分かる。
これ以上聞かない方が良いことも。
でも、足が動かない。
由樹「A、今日また言ってた。
母さんの最期の顔が思い出せないって」
俊治「…」
由樹「…分かってる。残酷だよ、きっと。
でもやっぱり知るべきだと思う」
ねぇ、由樹。
何を言おうとしてるの？
由樹「…Aを庇って、母さんは死んだって。
病気じゃなくて交通事故だったって」
．
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作者名：mamemiya
| 作成日時：2023年1月29日 1時
