26.Dear… ページ27
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拝啓 Aちゃんへ
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お元気ですか。俺は元気です。
無事に東京の大学に合格し、東京に引っ越したということは風の噂で知りました。おめでとう。
今この手紙を書いてるのは君が東京に行った後、つまり君と出会ってちょうど一年が経った頃です。
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手紙なんて柄じゃなくて、手紙なんて書いたのは多分小学生の頃以来じゃねえかなってぐらい久しぶりです。
ただどうしても、君に伝えたいことがあったので筆をとってみました。
文がぐちゃぐちゃになってたら謝ります。すまん。悪いと思ってるよ。
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俺は酷く後悔しています。あの日。あの時。あの場所で君を酷く傷つけたこと。君が大嫌いと泣いて叫んでいってしまったこと。
今思えばあんな言い方をしなければと、もっと違う言い方があったんじゃないかと考えれば考えるほど、胸ってやつがチリチリと痛みます。
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あの日言った言葉は半分本当で、半分嘘です。君には幸せになって欲しいし、俺なんかより沢山君を幸せにできる男はこの世にいると思います。
ただ出会ってないだけで、君を大切にしてくれる人はこの世界には沢山います。
奇跡なんてものは意外にしょっちゅう起こるものです。
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さて話は変わりますが、俺は母子家庭でした。父は早くに亡くなり、母が女手一つで俺を育ててくれました。
俺は何ひとつ不自由なく大人になり、夢だと思っていた自分の店を持つこともできた。
でもそんな母が実は数年前から入院していました。ガンです。末期の。お医者さんが言うには余命2年と言っていたのにもう数年生きています。
ね、奇跡って結構起こるでしょ？
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でもそれはそれで、毎日怯えていました。そんな母は向日葵が昔から好きで、それが所以で俺の店もヒマワリと名付けました。
俺は幼い頃からおとなしい子で、どちらかというと花、より雑草というか。そっちの方がふさわしい人間でした。
でも、大人になって君が俺を向日葵のようだと言うから俺は嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
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そんな君と出会ったのは、母が亡くなって1ヶ月後のことでした。
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唯一の肉親が亡くなって、抜け殻状態だった俺を支えてくれたのは幼馴染の翔ちゃん。
もともと独り身だった翔ちゃんは俺と一緒に住んでくれて、ようやく立ち直ってきた時
制服を着た君と、出会ったんです。
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