21.恋も巡っていく ページ22
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制服を脱いだら脱いだで、寂しくなるのはどういう現象だろう。
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＊「おはよAー」
「おはよ。あ、げっそりしてる」
＊「必修のさぁ、レポートが書けてなくて。今から空きコマで猛スピードで書いてくる」
「頑張って(笑)」
＊「ありがとー」
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季節は巡る。その巡りがあまりにも早すぎて身体と心がついていかないのは当たり前なのかもしれない。
私は無事、東京の大学に入学し友達もできて、ようやく大学生活に慣れて来たところ。
夏。あれから一年が経ったのに、どこか胸の片隅がチリ、と痛むのはまだ完治していないんだろうか。
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綺麗だと褒められた黒髪は、茶色く染めてしまった。
駅前。あはは、と笑いながら横を過ぎていく制服を着ている子たちを見てぼんやりと思い出す。
あの頃の私は、もうどこにもいない。
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制服を着て、必死に大野さんの隣を歩いて笑う私は、もうどこにも。
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潤「お前マジで肉好きな」
「美味しいよね肉」
潤「そんなんだから彼氏できねーんだよ」
「ふふん言ってなさい。こんな私でも好きだと言ってくれた人がいたのだよ」
潤「…っは！？彼氏できたのかよ」
「残念、できましたー。ごめんね潤、ひと足お先」
潤「み、見せろよ、写真！」
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ジュージュー、と四方八方から聞こえる焼肉の音。煙の向こう側にいる潤にスマホを差し出すと
「イケメンかよ…」とぼそりと呟く。
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潤「え、騙されてんじゃね？」
「あんたねぇ……」
潤「マッチングアプリで見つけたんだろどうせ」
「あのねぇ、違いますぅ。友達の紹介ですぅ」
潤「マジかよ」
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でも新しい恋をできるぐらい、傷は治った。
向日葵を見ると今でも少し思い出してしまうけど、ラインは非表示にしてもう友だちリストにはいない。
東京にいるからすれ違うこともない。
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あれは、夏の思い出。
そう思えるようになったら、どこか胸の蟠りみたいなものが静かに風化されていくのが分かった。
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そうやって私は生きていった。大学生活はあっという間に過ぎて、泣きながら就活をして
沢山の恋をして、25歳になって
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潤「結婚しよう」
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私は、一周回って潤にプロポーズをされた。
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