20.季節は巡る ページ21
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バイトは無断欠勤をした。電話もかかって来ないことから私はもう行かなくていいんだろうと踏んだ。
そもそもテナント修理が終わるまで、って約束だったし。
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そんな言い訳を毎日して、壊れてしまった恋のカケラは夏の水に忍ばせて
気づけば夏休みは終わりを告げ、新学期が始まっていた。
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マイ「っえっ！？やっぱり東京行くことにしたの！？」
「うん。さっき指定校推薦の紙先生に渡して来た」
マイ「いやいや…この前まで行かないって駄々こねてたのに…」
「もうどうでもよくなったの。やっぱり！私は！東京に行く！こんな田舎でてくの！」
マイ「ああ、まあそうならいいけど。てかそれが本来のAだしね」
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そう。これが本来の私だったのだ。
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大野さんなんかに出会って、違う私が出て来た。あれは本来の私なんかじゃない。
あんなのはいらない。
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向日葵だって夏の花だ。夏が終わったらその季節は終わる。
大野さんは向日葵みたいにニコニコ笑う人だった。
向日葵は、もういらない。
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ひと夏の、淡い思い出にすればいい。
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そうやって受験生の二学期は目まぐるしく回っていった。指定校推薦の私は面接と書類審査だけだったけど
マイや他のクラスメイトはセンター試験を受ける方が圧倒的に多くて11月の半ば。私は合格が決まったけれど大声をあげて喜べず。
両親と着々と東京のマンションとガスの契約と、準備を始めた。
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寒い冬は一瞬のようだった。
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「……」
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ダッフルコートを制服の上に来て、マフラーで口元を隠して雪降る中
なんとなく、なんとなくヒマワリの前を通ると木製の看板には白い雪が積もっていて
暖かいオレンジ色の照明が窓から溢れていた。
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ざく、と誰も踏んでいない雪に足跡をつけてそのまま通り過ぎる。
そんな風に季節も過ぎ去っていく。
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マイ「うわああんAと離れたくないい」
「うわああん夏休みには帰ってくるからぁ」
マイ「ちょっと潤くん！Aのことよろしくね！？」
潤「お前ら地獄絵図みたいになってるよ…」
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卒業式。同じ大学に学部は違えど一般で受かった潤くんと共に
私はこの田舎を出ていくことになった。
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