02.未来 ページ3
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＊「よって、積分法を使って」
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つまんない。
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昼休み後。つまらない数学を、意味がよくわからない将来一体何に使うんだって言いたいぐらいの数式を受け流しながら
シャーペンを握って、ぼけっと窓の外を眺める。
なんでこうも草花しかないんだ。ここら辺は。もう少し歩けばイオンとかあるけども。
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ぶぉー…と無駄に大きな音で教室を冷やしていくクーラー。
カッカッと鳴る白いチョーク。メガネの先生が「ここテスト出るからな」って言って黄色いチョークで線を引く。
クラスの半分が、机に突っ伏しているけど先生は何一つ口出ししてこなかった。
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潤「何みてんの？」
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そっと話しかけてきた、隣の席の潤。
潤くんは中学校からずっと同じで、クラスは去年から一緒。席替えをしてよく話すようになった。
その整ってる顔立ちから、女の子にモテるらしい。
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「草花」
潤「熱あんの？」
「ないよ」
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小声でこそこそ。メガネ先生は相変わらずなんの指摘もせず、数式がウンタラカンタラ。
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潤「なに、黄昏てんの」
「ちょっと思い悩んでいたところですね」
潤「進路？」
「うーんそれもある」
潤「あれ？東京の大学行くんじゃないの？」
「東京には行く！絶対！」
潤「熱意が尋常じゃないな」
「でも…やりたいことがなくて」
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ぼんやりと遠くを見つめる。
やりたいことがない。だから大学に行く。そんな子は結構多い。むしろこの歳で未来を見据えていられる子は少ないと思う。
よく大人が「若い子はいいね、悩みがなくて」とか言うけど。そんなの嘘っぱちだ。
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18歳。大人と子供の狭間。
なんだかんだで葛藤の間に挟まったまんま
なにをすればいいのか、わからない。
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「潤は？なにするの？」
潤「俺トリマー。」
「うそでしょ！？」
潤「だから専門行く。AO受ける」
「え、夏休み？」
潤「うん。内定貰えるだろうし」
「なにその沸き上がる自信……」
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こそこそ。こそこそ。なんかしてたから油断した。
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＊「遠藤。松本。仲いいのは大いに結構。じゃあこの数式、解いてみようか」
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ひいい！と叫んだのは、紛れもなく私だった。
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