序章 ページ1
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私は異能力というものを持っていた。
視界に入った異能力者の異能を盗んで自分が使えるようにする能力。盗まれた相手はその異能を使うことができなくなる。
此れだけ聞くと最強とも思えるが……勿論制約というものがちゃんと存在している。
先ず盗めるのは三つだけでそれ以上盗むとなればその時点で盗んでいる異能のどれか一つを元の持ち主に返さなければならない。
返し方は“相手に触れる”だ。仮に相手が死んでしまったとしても体の一部に触れればちゃんと返すことができる。
「あはは……もう最悪」
この異能を買われてポートマフィアに入ることができたがもう殺人三昧で良心なんてボロボロに崩れ去った。
それからある事件がきっかけで友人たちと決別した。
……決別した理由?そんなのは簡単だ。
一人は私にあるものを預けて此の世を去り、もう一人は数年前にポートマフィアから消えた。そして最後の一人は別の処の人間だった。
「私って周りの人を不幸にする能力でも持っているのかな……」
其れこそが本当の私の能力かもしれない……
そんな笑えない冗談を考えながらひたすら道をを歩いていく。
「まぁ私もあの包帯野郎と同じことをしたけどね」
ある組織の壊滅……そんな依頼を放棄して私も逃げたのだ。其れが今から丁度三年前の話。
そして今日、ヨコハマに戻ろうとしている。この街が良い方に変わっていることを祈りながら、私は船に乗り込んだ。
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作者名:山田 | 作成日時:2018年3月21日 11時