Ｍｉｒｒｏｒｂｏｒｄｅｒ２ (ページ25)

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揺れる意識ページ25

帰った後、かつての日常を思い出しながら先の感覚を忘れないように何度も舞う。
『くっそ、カヲル！もう一回だ！！』
『カヲル。少し手伝ってくれないか？』
『カオル先輩！一緒に走りませんか！』
『も～。カヲルってホント表情筋乏しいわよね～(笑)』
脳裏に浮かぶ懐かしい顔。平和な日常が思い出される。あぁ、よく大切なものは失ったときに大切だと気付くというがまさにそれだな。いや、大切だって気付いてはいたが。
「…ふぅ。こんな感じか。」
一通りの動作を確認してから軽く汗ばんだ首筋をタオルで拭きながら休憩をとる。水分補給の為に水を入れに行く。また、懐かしい記憶が蘇る。
『カヲル。君は人気者だね(笑)羨ましいよ。』
…チェル。幼少時代から俺と一緒にいた。ずっと笑顔ながら時折見せるあの顔(無表情)に疑問を持ち続けていた。
「なぁチェル。あの顔の意味は一体何なんだ…？」
教えてくれ。俺はあの顔を見るたびに、…『言いようのない恐怖』を感じたんだ。今でも、そう。あのチェル(この世界のチェル)もお前と似たものを感じるんだ。
『この世界は、残酷で、幸せな世界だよ。』
あの言葉の意味は何なんだ。お前には、何が見えていたんだ？
「お前は…何を抱えているんだ？」
誰も答えを返してはくれない。ここには俺以外誰もいない。ただ一人、誰かに問い続けた。
「…もう、寝よう。明日は早いし。」
明日から、披露試験(アンリヴァン)が始まる。