第33話 ページ34
貴女side
中原「…………」
鷹尾「な……」
全身を包み込まれる感覚と
中也の匂い、サラリと垂れる鳶色の髪
鷹尾「中、」
中原「A。
俺はお前が好きだ。」
鷹尾「・・・」
ただでさえ高鳴っている心臓が痛みを感じるほどに大きく脈打つ
鷹尾「な、何云って、」
中原「皆知っている。…気づいてないのはお前だけだ」
そっと体が離れ神秘的な青い瞳が私を見下ろす
鷹尾「…そんなわけ、」
中原「俺はガキの頃からお前が好きだ
だから、」
鷹尾「ま、待て」
我に返り頭振る
鷹尾「私は…両親を殺すようなひとでなしだ…｡
それに、私はもう大切なものは…」
中原「…閲覧したファイルに違和感を感じた」
鷹尾「え…？」
中原「途中から紙質が変わっている。
……書き換えられていた。」
鷹尾「…書き、換え…だと？」
中原「あぁ。…悪いが、お前の全てを調べ直させてもらった」
鷹尾「……」
中原「これが真実だ。」
ポケットから差し出された紙を恐る恐る開く
鷹尾「……………これは、」
中原「お前が両親を殺したんじゃない。
両親がお前に殺させたんだ…」
そこには
逃げる術を無くした両親が私だけを逃がすため
私にナイフを持たせ私の手を握って首を切ったと書かれている
私の異能を知っていた両親はマフィアから逃れるよう自分達の異能を私に継承させるために…
鷹尾「…………そんな、」
中原「たった五歳だ。記憶が曖昧で倒れた両親、手にもつナイフ。
先代がことある事に両親の写真を見せた事でお前は真実を思い出せなくなったんだ
どんなに戦闘向きの異能でも、フィジカルでも
お前の影絵世界には太刀打ちできない。
真実を知りお前が復讐する事を恐れた先代は
真実を闇に葬った。」
鷹尾「………」
両親を殺したのは私では無い…
この異能は奪ったのではなく
両親が継承してくれた異能…………
鷹尾「父さ、ん、母さん…」
中原「………」
ポロポロと大粒の涙が紙を濡らして行く
頭に中也の手がのり再び全身が包み込まれる
今度は大事なものを抱くように
優しい力で
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作者名：はまち x他1人 | 作成日時：2024年3月18日 2時
