チェイサー【中原中也】完結 (ページ24)

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第23話ページ24

貴女side

中原「…なんだ？」

鷹尾「なんでもない」

見過ぎたのか視線に気づいた中也が眉を上げた

すぐ目を逸らせば中也もファイルに視線を戻した

鷹尾「…………」

しかし綺麗な顔だ…

声を聞かねば男とは分からない

『チュウヤ、好き？』

鷹尾「…………」

中也が私の想い人になったのは最近の話では無い

五歳からマフィアにいた私は今よりもっと暗かった

普通の子供を知らず大人に囲まれて過ごした私は大人びている自覚があった

そんな可愛げのない私を誰も可愛いがらない

だがそんな時

太宰と中也が現れた

同い歳である事に二人に興味を持ったが近づく勇気なんて私には無い

それでも

『君、僕と同い歳なんでしょ？』

『ガキがまだ居たのかよ』

何の壁もなく接してくれる二人は徐々に私の心を開かせた

最初は尖っていた中也だったが

明るく無邪気な所は私を強く惹き

部下を思いやりどんどん出世していく姿に憧れを抱いた

鷹尾「…………」

楽しかったあの頃を思い出せば思い出す程

矢張り許せない

鷹尾「……中也。」

中原「…んぁ？」

鷹尾「…………………私を大切に思うと云ったな」

中原「…あぁ。」

鷹尾「…大切なものを失うという恐怖は無いのか」

中原「失う？」

鷹尾「もし私が死んだら」

中原「……やめろ。何があっても俺がお前を守る。」

鷹尾「…………」

例え話が通じない

中也らしい答えだ

鷹尾「太宰は大切か」

中原「何云ってンだよ。そんな訳ねぇだろ」

鷹尾「そうか。」

なら

鷹尾「決心がついた。」