ナイトとツンデレ (ページ46)

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衣装に着替えた(人1)とかれんは舞台袖にいた。
他の出演者も衣装に着替えスタンバイしている。
そこには見学の5人もいた。

『気になるの？』

かれんが心配そうに聞いてきたが別にとそっけなく返すだけだった。
そんな(人1)の華奢な肩に突然ぽんっと手が乗ってきた。
振り返るとそこには今話題のイケメン歌手、セイヤの顔があった。

『やぁ(人1)ちゃん久しぶり。
ロケ以来かな？かれんちゃんも久しぶり』

爽やかな笑顔で気さくに話しかけてくる姿は周りのアイドルのハートを掴んだだろう。
だが(人1)は無表情のまま何か用ですかとだけ答えた。

『相変わらず冷たいな～(人1)ちゃんは。
今度暇だったらご飯でもどうかなってね』

『行かない』

そう答えた(人1)をしつこく誘い続けるセイヤを見たアイドル達は次第に口を開いていく。

『また男落としたわけ？顔がよかったらやる事も違うわね～』
『セイヤさんかわいそう…』
『どれだけの男を落とせば気が済むのかしらぁ…』
『うわ～あの2人付き合ってんのかな？俺も(人1)ちゃんに遊びでもいいから落とされてぇ～』

少し離れてそれを聞いていた真緒はウソだと思いたかった。
現場を知らなかったとはいえ芸能界がこんな所だったなんて。
それにこんなに言われているのなら今に始まった事ではないだろう。
(人1)はいつからこんな世界で戦い続けていたのか。

(全部デタラメだろ！(人1)はそんな事しない！)

そして無意識に(人1)の肩に置いてあったセイヤの手を掴んでいた。
セイヤはもちろん、(人1)もかれんも驚いている。

『嫌がってるだろ、やめろよ』

だが返ってきた(人1)の言葉は辛辣だった。

『助けてくれてありがとう。
でも私は助けてくれなんて言ってない、余計なことしないで。』

本当に何も関係のない他人のような言い方だった。
そのまま静かにステージへと消えていった。