ナイトとツンデレ (ページ23)

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ナイトとツンデレ22 ページ23

『出来たわ！』

目の前にはプロも顔負けのレベルのケーキがあった。

『まぁ俺が教えたんだし当然でしょ。』

珍しくご機嫌な泉はとても笑顔だった。
ふと、(人1)が悲しそうな顔で泉の方を向き、

『姉さんも食べてくれるかしら…』

と問う。
よほど不安なのか自分の腕をぎゅっとにぎりしめてもう一度口を開く。

『姉さんも昔みたいに、美味しいって言ってくれるかしら…』

泉はその不安を取り払うかのように頭をぐしゃぐしゃとなでて

『大丈夫でしょ、面倒くさいやつ〜。
ほらくまくんも待ってると思うし早く行けば？』

そう言って玄関へぐいぐい押す。

『…瀬名！今日はその…ありがとう。
助かったわ。このお礼はいつかするから！』

そう言って急いで帰っていった(人1)のいた場所を見つめてぽそりと呟く。

『なんで応援するわけぇ…好きだから、ってことぉ？』

〜朔間家〜

少し暗くなった道を走って凛月の家のインターフォンを鳴らす。
するとガチャッと扉が開き、中から朔間零が出てきた。

『零…じゃなくて朔間先輩。凛月、いる？』

零は(人1)に抱きつき

『なんじゃ(人1)か〜。昔みたいに零で良いぞ？
おお、凛月なら自分の部屋にいるからのう。
好きに上がって行けばいい。』

と答える。
どうもと短いお礼をして絡まる腕を振りほどいて静かに階段を上がっていく。
コンコンとノックをして部屋に入るとベッドに寝ている凛月がいた。

(寝てるのかしら…？)

そう思い凛月の顔に手を伸ばしかけた瞬間…視界が反転して目の前に凛月の顔があった。

『あれ…なんでいるの？
しかも(人1)の方から来るとか…』

と聞きながらもまあいいかと抱き枕状態になり凛月の胸に顔が埋まる。

『ちょ、ちょっと凛月。
私あなたに渡すものがあるんだけど…離してくれない？』

『やだ』