193.聞こえないふりしてくれますか？ ページ3
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あれ？私、告白したよね？
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「失礼…します…」
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ってぐらい、二宮くんは普通でぶっきらぼうで普通だった。
私の脳内イメージでは「好きです」って言った後になんかしらアクションがあって
泣くか喜ぶか。その二択だったんだけれど、あれ？なんかおかしい。
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ぺたん…と座ると床は温い。床暖房がついているんだと私はこの時初めて知った。
私が床に座ったことを二宮くんは立ったまま確認すると、そのまま私の後ろへ回る。
「え」って私が顔を後ろに向けようとしたら「そのまま」って言われて動けない。
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なにされるの。
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ドキドキと無駄に高鳴る心臓。
二宮くんの匂いがふわんと鼻の裏をくすぐる。それだけで幸せだった。
いや…この状況だから、もしかしたらただ単にお茶を持ってくるだけとか。……ありうる。
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そんな気兼ねしなくていっか、って正座から足を崩した時。
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「へっ」
和也「……」
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いきなり何かが被せられる。それは両耳を覆って、頭の上に異物感を感じさせる。
何、って思ったのは最初の4秒だけ。5秒には何を被せられたのかは安易に分かった。
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和也「……聞こえないふり、してくれる？」
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後ろから被せられたのはヘッドホン。
後ろは向かずに、耳の方に手をやると感触からいつも二宮くんが使ってるものだと理解する。
そのまま耳の部分をする…と触っていくと、重なる手のひら。
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二宮くんはすぐ後ろにいる。
そして私にヘッドホンを被せて、私が取らないように阻止するために耳のところに手をやって、ヘッドホンを押さえつけてる。
崩した足を少し動かせば、トンってぶつかる二宮くんの足。
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簡潔に言えば、すぐ後ろに抱きしめられるような手前。ヘッドホンを被せられて、手を重ねられてる。
そのヘッドホンはいつも二宮くんが使ってるヘッドホン。白の。
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確かにヘッドホンをすると周りの音は少し聞こえにくい。
ヘッドホンからは音楽は流れてはいなかった。
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「え…なに…？」
和也「音楽が流れてると思って。聞いてないふりして」
「…う、…ん」
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よくわからないまま頷けば、二宮くんが笑った気がした。
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