192.ぶっきらぼう ページ2
.
.
「二宮くんが好きです」
.
.
ビュウ、と冷たい冬風が目の前を過ぎった。
.
変なの。前に告白した時は。花火大会のあの日は、死ぬほど息が出来なくてドキドキしたのに。
胸が本気で破裂しそうだって、そんな感覚だったのに。今は違う。おかしいぐらい落ち着いてる。
琥珀色の瞳にジィッ…と見つめられる。なんならその瞳に吸い込まれちゃうんじゃないかなって思う。
.
それはそれでいっか、とか。バカな考えをする私は相当重症かもしれない。
.
.
“好きです”ーーー…そう言ったあと、何秒だっただろう。何秒か間があって
その間が広がれば広がるほど、緊張はつま先までやって来る。何か言ってよ、と思った瞬間
ガサ…と二宮くんの持っているコンビニのビニール袋が動いた音がした。
.
その音に反応して、ずっと俯かせていた顔をあげると。
.
ガチャリ、と鍵が開く音がした。
.
.
和也「…入れば。」
「え…」
和也「どーぞ？」
.
.
ぶっきらぼうにそう言った二宮くんはそのまま開けた扉を開けっぱにして勝手に中へ入っていく。
私はそんな背中を慌てて追いかけるようにして中に入る。バタンと扉を閉めて靴を脱ぐと
既に二宮くんは自分の部屋の方へと向かっている。
.
キスをされた、あの日以来の二宮くんの家。
.
.
「お邪魔しまーす…」
.
.
恐る恐る足を忍ばせて、すぐ近くの彼の部屋へと進む。
進むと、あの日とは全然何も変わっていなくて部屋の隅っこにはちょこんと大事そうに置かれてるギター。
クン、って鼻を動かすと二宮くんの匂いがして口元が緩む。ただの変態だ。
.
.
ガサっとまだ部屋の入り口に立っている私に背を向けてる二宮くんは適当にそこら辺にビニール袋を投げ捨てる。
その反動で中身が溢れでる。セブンのなめらかプリンが出てきた。かわいい。
.
.
ゆっくりと二宮くんがこっちを振り向いて、目と目が合う。
何を言われるんだろう、とドキドキすれば二宮くんに言われたのは
.
.
和也「座れば。」
.
.
テーブルの横を指差して、これまたぶっきらぼうに彼は言い放った。
.
.
193.聞こえないふりしてくれますか？→←191.ふたり＋ひとり…side N
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4531人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
