ACT45 ページ49
em｢Aさんを？一体どうして…｣
話の辻褄が合わない、何故そこに突然Aさんの名前が出てくるのかが不可解でならなかった。それは彼も同じなようで深く溜息をつくとまた口を開いた。
gr｢真意は全くわからない。だが何かが絡んでる、その国の誰かがアイツと絡んでいる。｣
em｢誰かって…聞く限りだとAさんの関係は母親と父親の事しか話してませんよ、それにその母親は…｣
gr｢可能性が高いのはその父の方だな、だが…………本人が知っている関係性なんてほんのひと握りだ、一方的に知られているなんて関係だってある｣
ぞわりと寒気が走る。
そう言われればそうだ。自分が知る由もない関係性だってあるだろう。一方的に殺意を抱かれて殺されるなんて事は本の中でも現実でもよくある話だ。
em｢…ただ適当に幹部1人を横取りするだけ、なんて解釈、ありますかね」
馬鹿らしい可能性を口走る。彼女は曲がってはいるが、その本質は無垢だ。大人になるパーツを幾つか広い損ねてしまった純粋な女性なんだ。ソレが得体の知れないものに蝕まれる、そんな残酷な未来の可能性につい目を逸らしたくなった。
gr｢必死になって、らしくないゾ｣
em｢……私もそう思います｣
自虐的に笑う。それにつられ彼も笑うが、口角上げるだけのものでそれは直ぐに消える。
gr｢安心しろ、仲間を売るようなことは絶対にしない。勿論お前もだ、エミさん｣
em｢え｣
gr｢自己犠牲、命が関わるなら許さないゾ｣
em｢…すみません｣
お見通しか。先程の咄嗟に出た解釈は確かに自己犠牲の精神から来ていた。だが仕方ないだろう。彼女はゾムさんだけじゃない、ここのみんなに愛されている。それがlikeにしろLoveにしろ彼女が今更去るのは皆さんの本意ではないだろう。
gr｢どちらにせよ今の状態じゃ本人の意思も聞けない上、引き渡しも無理だろう。オスマン先生とトン氏でよく話すし、ロボロや大先生に情報を集めてもらう、できることを今のうちにしよう｣
em｢…それが賢明です
ut｢んぁ〜グルちゃんとエミさん、何話してんの？｣
怠そうに頭を掻きながら大先生が向かってきた。
gr｢大先生が忙しくなるという話だ｣
彼がいやん勘弁してぇなんておちゃらけて言えば、先程の緊張が解れる。
私もできるだけ情報を集めよう。人の過去に首を突っ込むのは良くないが、致し方ない。ゾムさんにも、皆さんにも……自分のためにも、今は情報が必要なんだ。
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作者名：にゃんとららんらん | 作成日時：2019年6月14日 13時
