ACT39 ページ42
zm｢ショッピくんっ？！！｣
声が途絶えた。
制限時間まであと18分もあるのに、煽って余裕ぶっこいてたシャオロンは別として、あのショッピくんまでもがやられるとは、想像以上だった。
zm｢シッマヤバいぞ、A半端ない｣
kn｢ゾム！今どこや！｣
zm｢え？ダクト、多分食堂辺りの｣
kn｢はよ逃げろ！あいつダクト使って探し回っとる！｣
嘘やんと咄嗟に思うが、後ろからとととと、と足音が聞こえて思わずビクリと体を震わした。が、その音の鼠のもので、チョロチョロと俺の横を通り過ぎて行った。
kn｢どうした！｣
zm｢いや……鼠やったわ…びっくりさせんなよシッマ｣
kn｢あー、すまんすまん……でもホンマに気ぃつけろ。いつ来るか分からんからな｣
zm｢シッマはどこおるん？｣
俺のいるダクトとは打って変わってちゃぷちゃぷと水音がインカムから聞こえていた。インカムは防水性で多少濡れても大丈夫なような作りといつだったかトントンが説明していたのを思い出した。
kn｢ひとらんの農園の井戸ん中、今日水嵩高かってん｣
zm｢……｣
若干彼のやっている遊びの種目が違う気がしたが、その疑問は舌先まで出かかって飲み込む。正直自分も言えたことではない。
kn｢あと何分？｣
zm｢ん……あと半分｣
kn｢割と死活問題になってもうたからな、ホンマに逃げ切らんと｣
zm｢んっふふふふ、死活問題……ひひひ｣
kn｢マジやねんぞ！何わろてんねん！！｣
zm｢自分で言ったんやろ……くふふふふふふ｣
なるべく声は押し殺していたが、笑いを抑えきれない。耳元でキャンキャン騒ぐ彼に気を取られ、周りの警戒を一瞬怠った。
本当に一瞬。
ひたりと頬を包まれる。
『たっち』
反射で息を吸い込み、恐る恐る首だけ後ろにやれば、桜色の瞳がじっとこちらを見ていた。
zm｢うそ、や｣
『ホントだよ』
と、Aは笑う。笑うが、それは単に可愛らしいものではなくて、そう、戦争で兵を蹂躙する時の俺を鏡写ししたような、そんな猟奇的な笑顔。
あぁAもこんな顔するんやな。そんな親近感が湧く。インカムの電源を落とし、その手をそのまま彼女の頬を撫で、あと一人やでと言うと、
『ね、ね、また本読んで』
と頬を擦り寄せてきた。Aとは思えないあざとさに顔に熱が溜まる。
zm｢ええで、頑張ってきい｣
先程とは違う花が咲いたような笑顔に変わり、彼女は闇の中に消えていった。
zm｢……はー、無理無理心臓もたん、幼女化は反則やろ｣
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作者名：にゃんとららんらん | 作成日時：2019年6月14日 13時
