ACT31 ページ33
施設の一角、本棚達が立ち並ぶ一部屋。その奥の奥のデスクでエーミールは心理学の文献を漁っていた。というのも、それもゾムからの頼みであった。基本頼られたら断れない性格だからというのもあるが、普段から仲良くしているゾムからの頼みであるからというのもある。
年齢に不適合な程に捻くれた性格を持つA。その性格をなんとか治すために何かしたいが、その方面に関しては教授と名高いエーミールもお手上げであった。
ここまで来ると最早科学の領域だ。
ふとそんなことが浮かぶ。科学。科学ならあの人に聞けばいいのでは。とりあえず大先生に連絡を取ってもらおうと思い立ったのが数分後のことである。
krr｢んん〜、心理学かぁ〜。ある程度は分かるけどそこまで突っ込んだ話になると難しいねぇ〜｣
em｢はぁ、やっぱりそうですよね｣
ut｢まぁまぁ先生、何とかなりませんかね。科学の力でパーっと｣
krr｢素直にさせたいなら自白剤とかどうかな、物理的にいくなら脳をちょっといじくって素直にできるよ、ロボトミー手術って言うんだけど｣
ut｢先生、先生、そういう素直にさせたい訳じゃないです｣
krr｢あれれぇ、そっかァ。そうじゃないのかぁ〜｣
このようなふわふわした態度で恐ろしげなことを口にするからこの科学者は恐ろしい。またうーんと悩ましげな声を出すと、またなにか思いついたのか突然声を上げる。
krr｢そういうのってやっぱ子供の頃に関係してくるよね、素直じゃないのって｣
em｢確かに…あの根強さはそうなってくると思います。｣
ut｢なんだカビみたいな話してんな｣
krr｢そう、じゃあ元から探っていけばいいんだよ！ということで最近作った薬品！！てれれれってれ〜｣
とクラレは懐からいかにも怪しげな色の液体が入った小瓶を取り出す。
ut｢先生、なんですかこれ｣
krr｢これはねぇ〜アポトキシン的なあれをちょちょいと改造して、人を幼少期位まで体も心も退化させる優れものだよ！｣
em｢心まで？一体どういうことなんですか｣
krr｢そこは催眠作用が含まれる【Pー】とか【Pーーーーー】｣
ut｢先生あきまへん、ダメです｣
krr｢んー！まだ人で臨床実験したこと無かったから丁度良かった！ぜひぜひ使ってね！｣
em｢アカン！！！！これほんとに大丈夫？！？？！｣
多分大丈夫だと思うけどなぁなどとふわっふわな回答をされると益々不安になるが、虎穴に入らずんば虎子を得ずと、自らを奮い立たせてその怪しげな薬品を受け取った。
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作者名：にゃんとららんらん | 作成日時：2019年6月14日 13時
