【wrwrd】HelloAssassins! 【軍パロ】 (ページ22)

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ACT20 ページ22

爆発音が止む。

彼は耳鳴りを起こし、まともに周りの音を確認できずにいた。それを補うために周りを視覚で確認する。

振り返れば変わり果てた女性がいた。

恐らく彼女がこのように侵入して母親を連れ戻しに来た時のために、体内に小規模だが爆弾を仕掛けていたのだろう。それとも最初から生きて返すつもりはなかったのだろうか。

あんまりな結末に彼を目を背けるしか無かった。

数えきれないほど人を殺して、死体は見慣れているだろうが、彼はそっと彼女の目を塞いだ。

『やめろ、手、どけろよ』

テノールとアルトの音がちぐはぐに紡がれる。

『人が、爆発するとかないよな。可笑しいよな？』

声が震えている。

『退けよ、母さんどうなった。』

彼女が体を離そうとする力が強くなる。彼は逆にそれ以上の力で体を引き寄せた。見せてはいけないと、その一心であった。

『離せ。殺すぞ』

zm｢…………わかってんやろ。出るぞ。｣

足音が近づいて来るのが聞き取れた。

彼女を抱えて走りだした。彼女の怒りの声や拳を受けながら死にものぐるいで走った。

慟哭。

なんてことは無い、爆発音より可愛いものだ。

あの老年の女性のように彼女が安心するように抱きしめてやりたいが、走りながらではできるはずがない。例え帰ってからでも、上手くできないであろう。

彼はただ走りながら、ごめんな、大丈夫、辛いよな、ごめん、ごめん、と、小さく漏らす事しかできなかった。

それが彼にはとても辛かった。