21話 ページ22
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私は歩いた
クラスを聞いた後お礼も言わず
無我夢中で歩き出した
特進のクラスは食堂から近くすぐに着いた
教室の前まで来たはいいが
ここで我に帰る
クラスの扉は開いており中が見えた
他のクラスと比べて静かな雰囲気の
少数精鋭のクラス
隠れてキヨを探していると
後ろから声が聞こえた
「誰か探してるの〜?」
ビクッと肩を震わせ振り返ると
そこには小柄な男の子が立っていた
『あ、えっと・・・』
「分かった!キヨでしょ?」
ポンっと手を叩きニヤリと口元を歪める
どことなく彼には黒い影が見える、ような
「もうすぐ帰ってくると思うんだけど、、
それまで俺と少し喋ってる?」
『え、いや、そんな・・・』
「大丈夫、大丈夫!
君もキヨのファンなんでしょ?」
『・・・ファン?』
“友達”でも“彼女”でもなく
“ファン”と言う響きに居心地の悪さを感じた
「キヨってさ、静かで温和で天才じゃん?
しかもイケメンで理事長の息子って来ると
そりゃ女の子はほっとかないよね!」
え?え??なんだって??
いろいろとキャパオーバーなんですけど
『キヨが静かで温和・・・?
やっぱ人違いかな・・・?』
「・・・あれ?もしかして君、
Aちゃん?」
『え・・・あ、はい』
急に会ったばかりの人に名前を呼ばれ驚いた
「やっぱりー!キヨから話は聞いてるよ!」
そう言うと彼は自分の事を“ヒラ”と名乗った
キヨとは幼馴染でいつも一緒に遊んでいたとか、
「キヨは今回も勉強せずに1位取っちゃうんだもん
ずるいよねぇ」
『勉強もせずに1位とかありえないから、
きっと影でこっそり・・・』
「ちっちっち、甘いなぁ、Aちゃん
キヨはね、天才なんだよ!
1回見ただけで覚えちゃうんだから
俗に言うカメラアイってやつー!」
読んで字の如くカメラのように
1度見たものを記憶すると言うものだ
そんな能力があるにもかかわらず
彼は一体なぜ番号を何度も聞きに来たのか
ヒラはあたかも自分の話をしているかのように
自慢げに話した
キヨの事、自分の事、学校の事、
しばらく経ってもキヨは戻ってこなかった
「それにしてもキヨ遅いねぇ」
『・・・どっかで彼女と
イチャイチャしてるんじゃないの?』
思わず出てしまった心の奥にあった不満
ヒラが不思議そうに顔を覗き込んで
目が合うとニッコリ笑った
「ありえないね」
『え?』
「キヨはね、恋愛できないんだ」
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しおみ(プロフ) - あっとろさん» コメントありがとうございます!更新遅めですが頑張って行きたいと思います! (2017年12月15日 15時) (レス) id: 1b48ac35b1 (このIDを非表示/違反報告)
あっとろ - おもしろい!更新頑張ってください! (2017年12月10日 0時) (レス) id: 61fa521ea8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しおみ | 作成日時:2017年12月7日 0時