百三六の感情 ページ21
-星埜谷 視点-
ぎゅっ…、と、
しのぶが私の背中に手を回し、
声を押し殺すようにして泣いた
きっと…、ずっと我慢してたんだと思う…
私もそんな感じだったから…
偽善者だと思われるかもしれない。
けど、私はしのぶをわかってあげたい
.
______パチッ パチッ
そんな乾いた音が鳴り響いた
音の正体は、紛れもない鬼で、
鬼は、何故か涙を流しながら拍手をしていた
「いやあ…、泣かせてくれるねえ。これが友情かあ…!実に素晴らしいねえ」
鬼はそう言って、
まるで気持ちの籠っていないような拍手を繰り返す
「しのぶ…ちゃん、かな?俺は感動したよ!こんな弱い女の子がここまでやれるなんて!姉さんより才も無いのによく鬼狩りをやってこれたよ!今まで死ななかったことが奇跡だ!!」
「……黙れ…」
「全部全部 無駄だというのに!やり抜く愚かさ!これが人間の儚さ、人間の素晴らしさなんだよ!」
「…っ黙れと言ってるだろうッ!!!!」
そう私が叫べば、
鬼は、妖しく笑う
「そんな怒んないでくれよ、Aちゃん。俺はしのぶちゃん以上に、君にも感動しているんだ」
「……、」
「猗窩座殿に聞けば、君は何の感情も持たない、ただ命令で動くだけの人形だったみたいじゃないか!気まぐれで動いて、気まぐれで助ける!とんだ情けだねえ!こんなくだらないことをするなんてねえ!」
「っ……」
鬼の発言に、
刀を握る力が無意識に強くなる
だが、
鬼の言うことは間違っていないかもしれない…
今思えば、
全部、私の気まぐれだったのかもしれない…
煉獄さんを猗窩座から助けたのも、
炭治郎たちの無事を確かめに行ったのも…
時透くんを助けたのも…
「(…全部、私の気まぐれ…?)」
.
「嗚呼!君の行動すべてが俺をこんなにもドキドキさせる!君は素晴らしいよ!凄い!凄いねえ!!」
「…違う、これは私の意思だ。気まぐれなんかじゃない…」
"ただの気まぐれ"と、自分自身の感情を押し殺してついた嘘だ
そう…、私の、自分自身の意思だ
私が反論すれば、鬼は高笑った
その鬼の高笑いに、
こんなにも虫酸が走るのは久しぶりだ
「そんなムキにならならないでよ。君には本当に感動しているんだ。だって俺だったら…」
.
.
.
俺だったら、邪魔になるもの全部消しちゃうからなあ_____、
.
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いちご飴 - とっても面白いお話ですね!更新がんばってください!応援してます! (2020年6月5日 1時) (レス) id: 277b9199de (このIDを非表示/違反報告)
琴 - とても面白くていっきにすべて読んでしまいました! 更新頑張ってください!! 楽しみにしています! (2020年5月20日 20時) (レス) id: bdd41f57a7 (このIDを非表示/違反報告)
マロ(プロフ) - 久しぶりの更新とても嬉しいです!!! 今か今かと心待ちにしておりました!! これからもずっと応援させて頂きます!! (2020年4月17日 18時) (レス) id: d8cf0d1c15 (このIDを非表示/違反報告)
雪もち - とても面白く拝見させて頂きました!更新楽しみにしています! (2020年3月31日 13時) (レス) id: 01ef15654f (このIDを非表示/違反報告)
かかす(プロフ) - それぞれのキャラの性格がしっかり掴めていてすごいと思いました!応援してます (2020年3月24日 23時) (レス) id: cb1c312403 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:牡丹 | 作成日時:2020年3月4日 10時