【肆】感情ヲ捨テタ一人ノ柱ハ…【鬼滅の刃】

百二九の感情 ページ14

-胡蝶しのぶ 視点-









「(…ここは何処？)」





そう警戒しながらゆっくりと歩く



そして、

血の匂いがする扉をカタッ…、と開けた




その瞬間、








＿＿＿＿＿＿ボリッ…ﾎﾞﾘ…ﾎﾞﾘﾎﾞﾘ…




そんな惨い音が私の耳に響いた



扉の奥にいるのは、

喰い殺されたであろう女性の数十人の死体…



それと、








「あれぇ、来たの？わぁ、女の子だね！」






扉を開けた私に気づいたのか、

むごい音を鳴らしていた張本人が、

ゆっくりと私の方へと振り向いた



喰べかけの腕を持ちながら…








「若くて美味しそうだなあ。後で鳴女ちゃんにありがとうって言わなくちゃ」







そう呑気に言う男の鬼に、

私は額に青筋を立てた









「やあやあ、はじめまして。俺の名前は童磨。いい夜だねぇ」








そう言って、

鬼は被っていた帽子を取った



その鬼は、









頭から血をかぶったような鬼で、


『頭から血をかぶったような鬼だった』




ずっと屈託なく笑って、穏やかに優しく喋る


『にこにこと屈託なく笑う、穏やかに優しく喋る』









あの日の姉さんの言葉が鮮明に蘇り、


その言葉は、

この鬼の特徴に当てはまっていく…






全部、全部…、当てはまっていく…っ









「俺は"万世極楽教"の教祖なんだ。信者のみんなと幸せになるのが俺の務め、」






「(…こいつが…、姉さんを殺した鬼…)」









そう確信したあと、

私はこの鬼の言う言葉、全部に虫酸が走った









「正気とは思えませんね。貴方、頭大丈夫ですか？本当に吐き気がする」








自分でもわかるくらいに、

すごい血相で言ったと思う



鬼は、驚いた顔をして首を傾げた








「随分刺々しいなあ。そうか、君もなにか辛いことがあったんだね…。聞いてあげよう、話してごらん」









嗚呼…、本当に吐き気がする…









「つらいも何もあるものかっ！私の姉を殺したのはお前だな！！？この羽織に見覚えはないか！！」









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