△南東の夜空にて輝く ページ16
トントン君の事を考えて辛くなった時、私は決まって同じ所へ向かう。
コンコン、
『Aです。…慰めて下さい、鬱第一狙撃隊長。』
ガチャ、
ut「はーい、またトン氏の事か。ええよ。中に入って。」
『失礼します。』
彼は第一狙撃隊長。鬱先生。
同僚達から流れた噂を辿ればまぁ当たっていて。
女慣れしてるという点で、彼に慰めてもらう事がある。
彼は私がトントン君に好意を抱いている事を知っている。
『…で、聞いて下さいよ。トントン君の想い人には既に先客が居たの！あり得ないですよねぇ！トントン君の方が何倍もカッコいいのに！』
ビールが苦手な私はカクテルを呑んで、愚痴っている。
トントン君の想い人は、私の知らない人であり、どの様な人かさえ分からない。
只、こう言ってやりたかった。
『トントン君の想いを踏みにじるなぁ…』
此処は鬱様の自室。目の前に人がいる事も充分承知の上で呑んで、語る。
心の奥底の気持ちを、吐き出す。
目尻には涙が溜まっている。
そして左目から一滴、滴る。
ut「左目から流れる涙、悲しいって意味や。」
えぇそう、悲しい。
悲しい、悔しい、虚しい。
貴方にはきっと分からない感情。
言葉で表現するのが怖い感情。
自分自身、恐れる感情。
泣いて喚いて、目の前が涙でぼやけている。
すると、鬱様は私を壊れ物の様に優しく抱きしめた。
ut「なぁ、俺だったら幸せにしてやれるで？トン氏みたいにAの事を悲しませない。涙を流させない。やからさ、トン氏じゃなくて俺を見てよ。」
驚きと共に鬱様を見上げると、眉を下げて此方を見ている鬱様。
悲しませない？本当に？
分からない。
『…え、えっと、あの』
ut「んあぁ、今直ぐに答えてとは言わへん。ただ、俺はAちゃんが好きなんや。これだけは覚えといて。」
そういうと鬱様は、私の身体を持ち上げ立たせた。
ドアの所まで着いてって貰うと、少し廊下からバタバタする音が聞こえた。
鬱様は気付いてない様だ。
ut「じゃあな、Aちゃん。返事、待ってるから。酔ってるんやから気い付けな？」
『はい…有難うございます。』
重い足取りでフラフラと。この重さは身体だけではない、黒い感情も乗っかってる気がした。
ふと、道中あるバルコニー。
前、貴方が届かぬ愛を呟いた所。
あぁ、三日月が嫌なほど綺麗。
届かぬ愛を私も呟こう。
『＿＿月が綺麗ですね。』
彼に振りまいた偽りの笑顔を、一滴の涙と共に。
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片目レンズ歌実愛し隊(プロフ) - 白兎さん» ぁぁぁぁありがとうございます...是非読ませて下さい! (2018年8月5日 9時) (
レス) id: eba8b47e0e (このIDを非表示/違反報告)
白兎(プロフ) - 片目レンズさん» 有難うございます…もうすぐ最終節なんですけど、これが終わったらこんな感じの似てる系の書こうかな…なんて。 (2018年8月4日 1時) (レス) id: 49933bed16 (このIDを非表示/違反報告)
片目レンズ(プロフ) - 白兎さん» いやぁもう、そういうの大好きなものでして。見習いたいものです(-_-;) (2018年8月3日 21時) (レス) id: eba8b47e0e (このIDを非表示/違反報告)
白兎(プロフ) - ヒナっちさん» 両思いだがお互い勘違いしている系を書きたかったの。最後はハピエンにするから！ (2018年7月31日 20時) (レス) id: 49933bed16 (このIDを非表示/違反報告)
白兎(プロフ) - 片目レンズさん» 返信遅れて申し訳ないです。作者、回りくどい伝え方が好きなんですけど、どうも文章力がない者でして…こんな物でも良ければ見てって下さい！ (2018年7月31日 20時) (レス) id: 49933bed16 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白兎 | 作者ホームページ：http://hakuto1945
作成日時：2018年7月18日 14時
