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ジェイムズside






なるべく静かに自宅の扉を開いた。


彼女が寝ていると思っていたのだ。


だがどうだろう。


部屋の明かりがついているではないか。







『おかえりなさい』







少女はソファーにもたれて本を読んでいた。


確かに私は部屋の本を自由に読んでいいといった。


しかし彼女の前には既に読み終えた本が山のように積み上げられていたのだ。


半分は私が日本語と英語を勉強する際に買った参考書。


もう半分は犯罪心理学といった専門的なものだった。


そして少女の片手には辞典が握られており、周囲には英文や単語が練習された紙が散乱していた。








ジェ「まさか……ずっと英語の勉強をしていたのか」


『はい。あらかた読めるようになりました。単語はまだ調べなければわからないものが多いですが、今までに調べたものは覚えました』


ジェ「食事は?ちゃんと食べたか」


『はい、朝とお昼を作っていただきありがとうございます』


ジェ「夜ご飯は……」


『?』


ジェ「夜ご飯は食べたか?」






少女は首を傾げた。


そしてあたかも当然のことのようにこう言うのである。






『夜ご飯については何も言われていないので、まだ食べてません』







ああ、と私は心の中で低く呻いた。


そうだ、私が少女に言ったのだ。


"英語"を覚えろ、お昼ご飯を食べろ、と。


もっと彼女が育った特殊な環境を考えればよかったのだ。


一日に与えられる僅かな食事。


身体中の痣。


睡眠時の震え。


人身売買。







彼女はきっと飼い犬のように育てられてきたのだ。


忠実に命令に従うように躾られ、


間違えれば叩かれる。


彼女が私を保護人として頼ったことをもっと喜ぶべきなのだ。


人形のように育った少女が、


本を開いたまま私をじっと見つめるこの子が、


このままでは死んでしまうかもしれないと追い詰められた果てに、








本人でさえも気づかないうちに取引という形で、彼女が自分の意思で、


私を頼ってくれたことに。

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greenthemumkiku(プロフ) - すごく...すきです、、更新、待ってます、、!!!!はよ赤井さん出てくれぁえええ、!! (2022年3月27日 23時) (レス) @page29 id: c57106f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - 稲荷さん» ありがとうございます!まだまだ書き始めたばかりですが、できる限り更新できるよう頑張ります! (2022年2月17日 21時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
稲荷(プロフ) - 続き楽しみです! (2022年2月17日 21時) (レス) @page10 id: d01056f976 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白ウサギ | 作成日時:2022年2月15日 20時

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