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Ep.26 ページ26

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「 神威...さん... 」

「 ...えっと....その...私今日はお休みで... 」


思いがけないその人に言葉も詰まってしまう。
どうして此処にいるのかと聞きたげな表情が見つめるから、押し出した返事をするといつもの張り付いた笑顔の短い相槌。


何事も無かったかのように通り過ぎ、2階へと上がろうとするその人からは、今まで感じたことのなかった数の怪我の臭い。




「 今までどこに居らっしゃったんですか 」


「 ....どこでもいいだろう 」



今度ははっきりとした言葉で問えば、無愛想な背中は素っ気なく返し、有無を言わさず階段を上っていく。




「 ッ待ってください神威さ___ 」




後を追うように走り込むのは神威さんの部屋。
私を挟み、ドアを叩き締めるその人は酷く冷たい表情を向ける。



「 あんたには関係ないって言ってるよね 」



低いその声が、拒絶する瞳が、私を威嚇する。
微かに震える拳に力を込め、真っ直ぐに見つめて。



「 私は子供たちの微妙な変化を伺う保育士です。貴方が数日前から絶えることなく怪我をしていたことなんてお見通しなんですよ 」

「 答えてください、神威さん 」




白く生活感のない部屋。例えるならば、虚無。
張り詰めた空間を立てるように大雨が降りつける。



「 ....そんなに知りたいなら教えてあげる 」



ドアへと追い詰めていた私の腕を引くと、息を飲む程の一瞬の内にベッドの上に組み敷く。

頭が回る頃には唇を奪われていて。
押し入ってきた神威さんの舌が私のものと絡まる。

痺れる感覚に視界が暗めば、スカートの中這う手。
下着の上から形をなぞるように動く指に身体が反り、思わず声が漏れる。





流されてしまう。
遠のく理性を止めるようにその胸板を押し返し、ヘッドボードの方へと逃げ距離をとる。



「 驚いた。大抵の女はこれで落ちるんだけどなぁ 」



睨む私にお構いもせずヘラヘラと笑う神威さんは自身のシャツのボタンを外していく。露になるのは、その真っ白な肌を埋め尽くす程の無数の傷痕。

赤く、血の滲む傷。
恐らくそれらは最近付けられたもの。

その光景に言葉を失っていると、自嘲気味に笑う神威さんが私を見下ろす。




「 俺は金の為ならなんでもやる。男娼なんだ 」


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S(プロフ) - めちゃんこ好きです!更新待ってます! (8月11日 14時) (レス) @page37 id: cc16e6db3c (このIDを非表示/違反報告)
春風 - 更新ありがとうございます!とっても嬉しいです!これからも楽しみにしています! (2022年11月30日 15時) (レス) id: 1ece860df7 (このIDを非表示/違反報告)
ツバサ(プロフ) - 更新待ってました…!すごい嬉しいです!銀さん作家だったんだと驚きでいっぱいです!あと文章の書き方がとてつもなく好きです、ありがとうございます! (2022年11月28日 8時) (レス) id: 1052176700 (このIDを非表示/違反報告)
むぎ - このお話大好きです…!更新待ってます! (2022年4月4日 18時) (レス) @page31 id: fc9ca49c49 (このIDを非表示/違反報告)
- 何回見ても、ストーリー面白いし好きです!更新されること願ってます!!!! (2022年1月6日 23時) (レス) @page31 id: b23a2b20e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:□白澤□ | 作成日時:2020年12月1日 12時

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