肆拾. ページ39
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「急ぐことではない。其方の良き返事、期待している」
慌てた様子の側近は正気を取り戻して欲しい為なのか、一度城に戻るようにと口添えをする。笑顔で返事を待つとの言葉を添えて、将軍様は嵐のように去って行った。
その方向をただぼーっと見つめ数秒、少しずつ現実へと帰ってくる。
御台所とは将軍様の妻となる者。即ちこれは結婚の申し込み...もう何が何だか...流れる展開に頭がパンクしてしまいそう。
護衛に当たっていた見廻組の面々にも動揺が拡がっているらしい。ざわめきの中、私の元へと歩いてくるのは見廻組局長、佐々木異三郎さんだった。
「大変なことになりましたねぇ。まさか貴女が婚約者候補に挙がるとは」
口調とは裏腹にその人の様子はとても落ち着き払った...いや、どこか嬉しそうにも見える。まるで予定通りと言わんばかりの表情に嫌悪感が巡った。
なにか嫌な予感が....
ざわつく心中から自然と後退ると、背中に当たる衝撃。
見上げ振り返れば、
「おやおや、これは嬉しいですねぇ。真選組の副長さん直々に会いに来てくれるなんて」
そこには、佐々木さんを鋭く睨みつける土方さんの横顔。
「エリート様ってのは綺麗好きだとばかり思っていたがそこらのチンピラより汚ぇな。...テメェ、こうなると踏んで動いただろ。」
「私はね、計画通りに舗装した埃一つない道しか歩きたくないんです。茨道を好む勇ましく哀れな真選組のみなさんにはご理解頂けないでしょうが。」
こんな表情を見たのは初めてだ。
真選組のことも見廻組のことも良く分からないけど、きっと公務での譲れない何かがあるのだろう。
声を掛けようかと戸惑う前に土方さんが山崎さんを呼ぶ声が響き、思わずびくりと肩を揺らしてしまった。
呼ばれた山崎さんもその声色に驚いた様子だったが、返事をするとなぜか私へと向く。
「さ、あっちにパトカーを待たせてあるんだ。行こう。」
「勝手な真似は困りますねぇ。この件は私共がお預かりしています。横取りはいかがなものかと。」
山崎さんが私の手を引いた瞬間、背後からは佐々木さんの声と刀が構えられる音。
振り返れば、土方さんは複数の見廻組隊士から刀を向けられていた。
「構うな、いけ。」
思わず立ち止まり、声をあげようとする私に振り返りもせず。ただそれだけの言葉に、再び山崎さんに引かれていってしまった。
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千鶴 - 好みの夢主でした。更新楽しみにしてます！ (2021年1月23日 20時) (
レス) id: 20d4515acd (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - スマホを変えて、垢が変わり､３回目｡いつ読んでも最高です！応援してます！ (2021年1月23日 9時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 前のコメントから一年ちょい｡ログアウトしてしまい大発狂｡漸く見つけました此の作品！！更新頑張って下さい！！！応援してます！！！ (2020年8月23日 20時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
も も(プロフ) - この作品は更新ないですか？楽しみにしてます！！ (2020年8月17日 3時) (レス) id: 32f8d7a304 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - トシがかっこよすぎます！！！めっちや面白いです！！ (2020年3月11日 14時) (レス) id: 319352fe0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：□白澤□ | 作成日時：2019年4月3日 1時
