弐拾玖. ページ29
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「 お前さ、姉ちゃんの話する時よく言うよな。"私なんか"って 」
「アイツらはお似合いだぁ？ただお前自身が真っ向から否定されるのが怖くてあの女に押し付けてるだけだろ」
いつもとは違う雰囲気の坂田さんになぜだか返事ができない。
その瞳が、逃げるなと言い聞かせて私を離さないから。
「 野郎を誰よりも長く想ってんのは誰だ？野郎の幸せを誰よりも想ってんのは誰だ？ 」
周りの音が耳鳴り変わり、ただ目の前の言葉だけが私に囁いてきて。
「 少しは自分を信じてやれよ 」
その言葉を放つや否や、坂田さんは軽い力で私の肩を押した。
気付くよりもはやく、身体は後ろへと倒れて。
混乱する頭は坂田さんの意味深な笑顔と共に群衆に吞まれ、
衝撃だけを待つ背中は、誰かに受け止められた。
「 あっぶね... 」
聞き覚えのある低音が頭上で呟く。
それを聞くには気まずいはずなのに、どうしてこんなにも心が高鳴るのだろう。
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坂田さんのあの笑顔の裏にはこんなサプライズがあるなんて。
「 お前はもっと足元を見ろ 」
がみがみと説教を垂れる真選組副長さんは、鬼と言うよりお母さんのよう。
将軍様の護衛の仕事として見廻り中だと言う彼は、自然と隣を歩く私を追い払わない。
「 怒らないんですか？仕事中だって 」
「 言ったところで聞かねーだろうがテェメは 」
「 さすが。よくわかってらっしゃる 」
拍手で称える真似をすると一層不服そうに溜め息を吐く。
不器用だけどその優しさは隠せない。
...そう本当に、優しすぎる。
隣並んで歩く道。
提燈の灯りが静かに照らし、幻想的に揺らめく道。
「 ちょいとそこのお嬢さん 」
私を引き止めたのは通り過ぎようとしていた屋台の店番。
「 デートかい？いいねぇ。彼氏も大層な二枚目じゃない 」
「 いえ、あの人は彼氏じゃなくて...」
「 彼氏じゃない？あぁ、旦那さんか 」
「 旦那？！違います違います！ 」
武州では勧誘なんてされることはない。
初対面に何を律義に弁解しているのかと感じるけど、頬は熱を帯びて。
ふと逃げるように向けた視線の先には、愛くるしい一匹のぬいぐるみ。
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千鶴 - 好みの夢主でした。更新楽しみにしてます！ (2021年1月23日 20時) (
レス) id: 20d4515acd (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - スマホを変えて、垢が変わり､３回目｡いつ読んでも最高です！応援してます！ (2021年1月23日 9時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 前のコメントから一年ちょい｡ログアウトしてしまい大発狂｡漸く見つけました此の作品！！更新頑張って下さい！！！応援してます！！！ (2020年8月23日 20時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
も も(プロフ) - この作品は更新ないですか？楽しみにしてます！！ (2020年8月17日 3時) (レス) id: 32f8d7a304 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - トシがかっこよすぎます！！！めっちや面白いです！！ (2020年3月11日 14時) (レス) id: 319352fe0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：□白澤□ | 作成日時：2019年4月3日 1時
