弐拾捌. ページ28
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提燈の灯りが揺らめき、遠くから太鼓の音が響く。
余興が行われる広場はすし詰め状態。しかし、屋台が犇めくこの一本道も負けてはいなかった。
人の波に飲まれぬように。神経を尖らせるけど慣れない履物には足を掬われる。
「おっと...大丈夫か」
転びかけた私を受け止めたのは、種と仕掛けしかない射的屋の詐欺師…ではなく、射的屋を出店している万事屋の坂田さんだった。
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「んなことだと思った。悪ぃな、あのガキ目移りが激しいんだ」
「変な人に誘拐された...なんて事が起きてなければいいんですが...」
「俺はそれより誘拐犯が再起不能にされることの方が怖いわ。慰謝料とか」
冗談交じりに隣を歩くのは坂田さん。
先程まで一緒だった神楽ちゃんとはぐれてしまった旨を伝えると、一緒に探す口実で店番をサボると言う。きっと、口ではそう言うけれど神楽ちゃんが心配なのだろう。
「それにしてもお前はいいのか？神楽なんかと祭り来てて」
「一番にその浴衣姿を見せなきゃいけない奴がいるんじゃねぇの？」
万事屋の関係にほのぼのしている自分が甘かった。
空気よりも口が柔らかい神楽ちゃんから私の想い人が漏れる速度は光よりも速い。
案の定坂田さんからも根掘り葉掘り聞かれた思い出があったのに、最近めっきりと会う機会が無かった為か、全くもって油断していた。
顔を手で仰ぎ集まった熱を散らすよう努めるけど、今度はその言葉で浮かれる熱も引いてゆく。
「やっぱ沖田の姉ちゃんに似てんな」
嫁ぎ先で倒れたミツバ姉。入院中も欠かさず送ってくれた手紙にはよく銀髪の侍が書かれていた。
坂田さんとの会話の中でその侍が彼本人だと知り、世間の狭さに衝撃を受けたのはつい最近の事。
「美人で器用で優しくて、誰よりもあの人を想ってる____」
「そんなミツバ姉だからあの人も惚れたんでしょうね。私なんか似ても似つきません」
我ながら自虐地味た情けない表情をしていただろう。きっと先日の言葉が頭から離れないから。
しかし、冗談交じりの笑顔で覗いた坂田さんは予想外の反応をしていた。
「それで？一歩退いた女の方が奥ゆかしいってか？」
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千鶴 - 好みの夢主でした。更新楽しみにしてます！ (2021年1月23日 20時) (
レス) id: 20d4515acd (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - スマホを変えて、垢が変わり､３回目｡いつ読んでも最高です！応援してます！ (2021年1月23日 9時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 前のコメントから一年ちょい｡ログアウトしてしまい大発狂｡漸く見つけました此の作品！！更新頑張って下さい！！！応援してます！！！ (2020年8月23日 20時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
も も(プロフ) - この作品は更新ないですか？楽しみにしてます！！ (2020年8月17日 3時) (レス) id: 32f8d7a304 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - トシがかっこよすぎます！！！めっちや面白いです！！ (2020年3月11日 14時) (レス) id: 319352fe0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：□白澤□ | 作成日時：2019年4月3日 1時
