拾陸. ページ16
.
夕日色に染まる山々。
先程の喧騒は吸い込まれたかのように静まり返り、
自然の音が響き渡る。
「 っあの... 」
気づけば、神社には私と長髪のお兄ちゃん。
その人はフラつく足でどこかに行こうとする。
「 ｯ...がきはさっさと..家に帰りやがれ.. 」
暴れに暴れたその人の力は、圧倒的であった。
近藤さんに並ぶ腕前だ。
しかし、人数も人数で
「 ありがとう..お兄ちゃん... 」
ボロボロになった背中に声をかけた。
「 てめえの為じゃねえよ 」
そう無愛想に返ってきたと思えば、膝から崩れていく。
「 ｯ!! 」
駆け寄り、体を揺すっても、もう返事は返ってこなくて。
「 ...ねえ！ねえってば！！ 」
半泣きで騒ぐ声のこだまに混じり、聞き覚えのある声達が微かに私の名を呼んでいた。
「 あそこ！Aいた！ 」
「 A！どうした？！ 」
泣きじゃくる私を見つけ駆け寄ってきたのは、私を探し走り回っていたのか呼吸が荒く頬に汗を伝わせる総悟と近藤さん。
「 近藤さん...ﾋｯｸ..この人ｯ..死んじゃった..」
「 こいつは...ゴロツキ共が探してるって噂の一匹狼か.. 」
近藤さんは小さく呟くと、いつもの優しい笑顔を私に向けた。
「 心配するな。今は気絶してるだけだ 」
近藤さんはその人の腕を肩にまわし、
「 A、総悟。帰ろうか 」
「 ..はやく泣きやめよ..ブス.. 」
「 ﾋｯｸ.. うるさい...」
これもまた不器用に出された総悟の手。
矛盾する言葉と行動は慣れたもので。
繋いだ手に引っ張られ、長髪のお兄ちゃんを担ぐ近藤さんの背中を、小さな影2つが追いかける。
夕暮れの桜道は道場へと続いていて。
これが私たちの、
私とトシ兄の出会いだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 248人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
千鶴 - 好みの夢主でした。更新楽しみにしてます！ (2021年1月23日 20時) (
レス) id: 20d4515acd (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - スマホを変えて、垢が変わり､３回目｡いつ読んでも最高です！応援してます！ (2021年1月23日 9時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 前のコメントから一年ちょい｡ログアウトしてしまい大発狂｡漸く見つけました此の作品！！更新頑張って下さい！！！応援してます！！！ (2020年8月23日 20時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
も も(プロフ) - この作品は更新ないですか？楽しみにしてます！！ (2020年8月17日 3時) (レス) id: 32f8d7a304 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - トシがかっこよすぎます！！！めっちや面白いです！！ (2020年3月11日 14時) (レス) id: 319352fe0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：□白澤□ | 作成日時：2019年4月3日 1時
