拾壱. ページ11
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すっかり空には三日月が昇り、
屯所の座敷には静かな風が吹き込む。
「 これでどうかな？痛む？ 」
「 お上手ですね 」
そう首を横に振れば、後頭部を掻きながら謙遜する隊士は、
山崎退さん。
今までずっと付き添って手当てをしてくれていた。
「 ごめんね Aちゃん 」
「 こんな時間まで事情聴取に付き合ってもらって」
「 もうっ、気にしないでくださいよ 」
「 大事な仕事のひとつでしょう? 」
同じ事を繰り返す山崎さんに、ついつい笑ってしまう。
夕方での事件。
あの2人組は真選組の追っていた攘夷浪士だったらしく、今の今まで事情聴取と傷の手当て。
壁に掛けてある時計は、もう居酒屋の開店時間が過ぎていることを知らせる。
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何気なく目に入った時計を見やる私に「送るよ」と山崎さんの気遣い。
静かな風が吹く屯所の廊下を、山崎さんの背中を頼りに進む。
赤く染ってしまったハンカチに目を向けて
「 ..あの、トシ... 副長さんは..」
「 副長？副長なら見廻り__あっ、でも会議があるからすぐ戻ると思うよ 」
「 そうなんですね。...えっ!?いや別に大したことじゃないんで__ｯ 」
意味を探るかのように覗き込まれ、口調とと
もに速まる足も、前方不注意からの衝撃で急停止した。
足元を見れば、黒い制服のズボン。
隊士の誰かとぶつかったのだとすぐさま悟り、距離をあける。
「 ｯごめんなさい 」
「 こちらの不注意... 」
ｻﾗｻﾗと風に靡く栗色の髪に、
山崎さんとは違う形の制服。
青年の瞳は私を捉えると
ゆっくりと見開かれていく。
頬に伸びる手と、
「 お前.. 」
整った顔が息の擽る距離に近づけば___
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千鶴 - 好みの夢主でした。更新楽しみにしてます！ (2021年1月23日 20時) (
レス) id: 20d4515acd (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - スマホを変えて、垢が変わり､３回目｡いつ読んでも最高です！応援してます！ (2021年1月23日 9時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 前のコメントから一年ちょい｡ログアウトしてしまい大発狂｡漸く見つけました此の作品！！更新頑張って下さい！！！応援してます！！！ (2020年8月23日 20時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
も も(プロフ) - この作品は更新ないですか？楽しみにしてます！！ (2020年8月17日 3時) (レス) id: 32f8d7a304 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - トシがかっこよすぎます！！！めっちや面白いです！！ (2020年3月11日 14時) (レス) id: 319352fe0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：□白澤□ | 作成日時：2019年4月3日 1時
