伯爵家は今日も騒がしい！４【オリジナル】

二話 ボードゲーム ページ2

第五章 二話 ボードゲーム


今日も今日とていつもの休憩時間。最近は気温が下がってきたことにより、使用人の給湯室で過ごしていた。

「やった！一抜けです！」
「わ、ソフィアちゃん、もう？！」
「ソフィアはこういう運次第のゲーム強いよなあ」
「日頃の行いの良さですよ」
「昨日、仕事中にパンを食べていてもですか？」
「あ、あれはちょっと小腹が空いて……誰も見てないと思って……」
「ちゃんと仕事してください」
「え〜それくらい許してやれよ〜、なあ？」
「そ、そうですね。少しくらいなら……」
「ほら！アルバート様も、先輩もこう言ってますし！」
「開き直らないでください」

そんなことを話しながらいつものように私たちはボードゲームをしていた。少し違うのはゲームをするメンバーである。
『グレンさんは意外と話せる人だ』ということを皆にわかってもらうため、ここ数日休憩時間が被っている使用人の方を連れてきていっしょにゲームをしているのだ。始めは皆戸惑っていたけれど、終わる頃には前より話せるようになっている。我ながらいい作戦だったと思う。
これを続けていけば、きっとグレンさんも少しは感情豊かになるだろう。楽しそうにニコニコ笑うグレンさんとか、全然想像できないけど。

「三抜けです」
「あ〜負けた！もう一回！もう一回やるぞ！次こそ勝つ！」
「いやいや、これは運次第ですから。日頃の行いが悪いアルバート様は……」
「最近はいい子にしてるって！」
「先週脱走しようとしたのはどこの誰でしたっけ？」
「ぐ……あれはまだ家から出てなかったから関係ないだろ」
「未遂でも犯行は犯行です」
「準備できましたよ。はい、ソフィアちゃんから」

とにかく今はゲームに集中しよう。頭脳戦以外で私が輝けるのはここしかないんだから！

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