最終話 伯爵家は今日も騒がしい! ページ21
言った。言い切った。
火照った顔を思わず覆っていると、少し経ってグレンさんが呟いた。
「……なるほど。そういうことですか」
「へ?」
理解し難い返事にとぼけた顔で声を上げた。見れば、考え込むような様子で彼はそこにいた。
「なら、話は早いです。早く行きましょう」
「っえ!?え!?!ど、どういうことですか?!」
そのままくるりと裏門の方を向き、スタスタ歩いていくグレンさんの服の裾を掴んで必死に引き止める。彼は門の方を向いたまま答えた。
「これからあなたのお宅に伺います。ご家族に直談判するために」
「……?な、なにをですか……?」
話が見えずに困惑していると、くるりと彼はこちらを向いて言った。
「あなたのご家族に、あなたがここで働き続けてくれるように頼みに行くんです。あなたの、恋仲として」
「…………え?」
振り返った彼の顔はあの日の朝のように耳まで真っ赤になっていた。彼の見慣れない表情もそうだが、熱を帯びたその視線に釘付けになってしまう。
「あの建国記念祭の夜にあなたにそのことを聞かされて、気がついたら体が動いてました。あなたのご家族の意向を調べ、説得するための情報をまとめて、この日のために自分の仕事を調節して」
「なんのためにここまで自分がやっているのか、先程までわからなかったんですが、今ならわかります」
「自分は、あなたが……ソフィアさんが好きなんです。あなたが自分に向ける想いと同じものを自分はあなたに持っていたんです」
グレンさんはそう言って、見たことも無いくらい幸せそうな顔で笑いかけた。
瞬間、ワッと後ろから声が上がった。
「やったー!おめでとう!」
「まったく、ヒヤヒヤしたよ」
「グレンさんがあんな顔するなんて……!」
「頑張ったね〜!ソフィア!」
驚いて振り返れば、顔見知りの使用人や騎士の皆が並んでいた。いったいどこにこんなに多くの人が隠れていたのだろう。
「うっ、うっ……おめ、でとう、ソフィア……うっ……」
「クラリス、そんなに泣くなよ。おめでとうソフィア。幸せにな」
「ソフィア、グレン、おめでとう!この恋のキューピッド、アルバート・ルズベリー様に感謝してくれよな!」
クラリス様、エヴァンくん、アルバート様に声をかけられ、その後もたくさんの人に祝福の言葉をかけられる。もみくちゃにされながら、この空間が心地いいと感じてしまう私も、この伯爵家の一員なのだ。
……ああ、本当にもう!
「伯爵家は今日も騒がしい!」
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お芋(プロフ) - しぇるふぃあ。((芦原晴))さん» わー!!再びコメントありがとうございます……!!そうなんです。彼は不器用なんで……ほんと!!(言葉にならない)そして、そうです!私自身彼らが大好きなのでもう少しだけ、騒がしい彼らの様子を書けたらな〜と思っております!お楽しみに! (2020年2月27日 23時) (レス) id: 105c0e2da2 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。((芦原晴))(プロフ) - 本編は…ということは番外編や後日談が更新されるという解釈で合っていますか?楽しみすぎます…!! (2020年2月27日 23時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。((芦原晴))(プロフ) - タイトル回収されてドキドキしました…ソフィアちゃんの告白が成功して思わず「やったー!」と喜んでしまいました( ´∀`)やっぱり両片想いだったんですね!一緒に働き続けたいがためにちょっと面倒くさくなってしまうグレンさんかわいくて大好きです!(続きます (2020年2月27日 23時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
お芋(プロフ) - わさん» コメント、感想ありがとうございます!本編は完結しましたが、もう少しだけ続くので楽しんでいただけると幸いです(*^^*) (2020年2月27日 22時) (レス) id: 105c0e2da2 (このIDを非表示/違反報告)
わ - 早く続きがみたいです!!すごく楽しみにしています! (2020年2月27日 3時) (レス) id: 6d2dda4d98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お芋 | 作成日時:2020年1月14日 21時