九話 相談その二 ページ9
(もうあれから五日経ってしまった……！)
依然として二枚あるチケットを目の前に、私は頭を悩ませていた。公演日はもう来週に迫っている。もし、もしもグレンさんが行ってくださるなら予定的にもう言った方がいい……のだけれど。
悩みに悩んだ末、エヴァンくんの元へ行くことにした。夏のあの一件で、私は彼の恋愛相談を受けたようなものだ。今度は私が彼を頼ろうじゃないか！
そう思い立ち、私は部屋を飛び出して騎士寮へと向かう。秋の夜風がひんやりと頬を撫でた。
△▼△▼△▼
「……というわけなんだけど、どうしたらいいと思う？」
事の経緯(私がグレンさんをす、好きってことも)をエヴァンくんに話し終えると、彼は深くため息をついた。
「その前にひとつ言わせてくれ……夜に女の子が一人で恋人でもない男の部屋を訪ねてくるもんじゃないぞ！」
「だ、だって時間がなかったから……」
もごもごと言い訳をするけれど、確かに常識ない行動だ。こういう時、エヴァンくんはしっかり忠告してくれるからつくづくいい人だなあ、と思う。
「もうこういうことするなよ……というか、ソフィアってグレンさんのこと好きだったんだな」
「う、うん……」
真正面からそう言われると、自然と顔が赤くなってしまう。エヴァンくんは続ける。
「せっかくエマさんが用意してくれたいい機会だろ。誘ってみればいいじゃないか」
「でも、あのグレンさんが行ってくれると思う？仕事人間のグレンさんが」
「まあ、そうだけどさ……」
それから何か悩むようにしたあと、エヴァンくんは口を開いた。
「よし。じゃあ、明日渡そう。おれも手伝うから」
「本当！？……って明日！？急すぎない？！」
「急って……じゃあ、これまでの五日間はなんだったんだよ！とにかく明日だ！いつもの休憩時間、おれがアルバートを引き付けておくから、二人きりの間にちゃんと誘うんだぞ」
「う、うん……」
エヴァンくんの提案に頷きつつも、なんだか今から緊張してしまう。せっかくエヴァンくんが協力してくれるのだ。やっぱり誘えなかった、なんてことにはできない。私は腹を括って明日に臨むのだった。
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お芋(プロフ) - しぇるふぃあ。((芦原晴))さん» コメントありがとうございます。お褒めの言葉、大変嬉しいです！嬉しすぎて小躍りしてしまいました……本当にありがとうございます！これからも更新頑張ります！ (2019年11月25日 23時) (
レス) id: 105c0e2da2 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。((芦原晴))(プロフ) - 初コメ失礼します、続編おめでとうございます！臨場感あふれる文章から伝わる伯爵家のキャラの濃さや、執事・使用人陣のよさ、なんといってもソフィアちゃんとアリスちゃんの可愛らしさにいつも癒されています(*^^*)これからも更新、陰ながら応援させていただきますね！ (2019年11月25日 22時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お芋 | 作成日時：2019年11月25日 20時
