伯爵家は今日も騒がしい！２【オリジナル】 (ページ9)

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九話氷の騎士様ページ9

「よし！一旦このことは忘れましょう！」

手を合わせてクラリス様が言い放った。現実逃避である。

「ソフィア、返してもらった本の続き、わたしの部屋にあるから取りに行きましょ。そして、もう今日は解散！」

そう言うと、私の手を引いてそそくさとその場から退却した。

△▼△▼△▼

「聞きましたよ、クラリス様！アンダーソン公爵家主催のお茶会に参加されるって！」
「げ」

本を取りにクラリス様の部屋へ入ると、エマさんが目を光らせてやってきた。

「ああ、建国記念祭以来ですね！あの時は一年越しになるだろうと思っていたのに、こんなに早く再びクラリス様を着飾れる日が来るなんて！社交界デビュー万歳！しかも、あのアンダーソン公爵家のお茶会だなんて！！あれですよね、『氷の騎士様』で有名なルイス・アンダーソン様の！ロナルド様とはまた違った美青年らしいじゃないですか！」

いつもの使用人然はどこへ行ったのやら、エマさんはいつになく興奮していた。それほどクラリス様のお茶会参加が嬉しいのか、逆にエマさんがこうなってしまうほどクラリス様が社交界から離れていたのか……

「なんでも、ルイス様はロナルド様のご友人だとか。王都の学校でお会いになったりしました？」
「ルイス様……名前は聞いたことあるけど……わたし図書館にこもりっきりだったし……」

エマさんに押され気味でもごもごとクラリス様はそう答えた。
それにしても、ルイス・アンダーソン様とやら、ロナルド様に匹敵する美青年とは……きっと二人が並んだら絵になるどころの騒ぎではないだろう。女子生徒は皆虜になるであろうに。

「とにかく、お茶会まであまり時間はありませんし、急ピッチでいろいろ進めさせていただきます。社交の場ですからクラリス様は参加される方々の情報をしっかり頭に叩き込んでくださいね」
「ひ、ひえ～……」

エマさんの圧に押しつぶされそうなクラリス様であった。