十四話 続お茶会 ページ14
運んできた食事を食べ終えると、クラリス様は追加を持ってくるように私に言った。再び皿に料理を盛り、持っていくとクラリス様は数名の女性とお話なさっていた。
そうだ、このお茶会は社交の場。クラリス様のご友人をつくる絶好の機会ではないか。そう思って邪魔にならないようにしていると、スッと女性たちは離れていってしまった。
「クラリス様、お持ちしました」
「ありがとう、ソフィア」
「……あの、先程のお嬢様方は？すぐに立ち去られてしまったようですが……」
「ああ、彼女たちは学校で隣のクラスの人達よ。せっかく話しかけてきてくれたのに、わたしったらダメね。アルに散々言われてたけど、本当に社交が苦手で会話が続けられないのよ。さっきも何を話したらいいのかわからなくて変な沈黙ができちゃったし」
そう言って肩をすくめたあと、私に向かって顔を寄せ、小声でこう伝えてきた。
「……だから、休みなく食べ物を持ってきてちょうだい。食事中ならあちらも話しかけてこないから……！」
「それはいけませんね」
横から急に聞こえてきた声に顔を向けるとそこにはテオさんがいた。いつからそこにいたのだろう。執事はいつも神出鬼没なのだろうか。
「クラリス様、ご自分のお役目はきっちりお果たしください。それと、ロナルド様がお呼びです。アンダーソン家の方々に挨拶を、と」
テオさんはグレンさんとは違っていつも微笑んでるけれど、それが逆に何を考えてるのかわからない。執事はそういう人達ばかりなのだろうか。
△▼△▼△▼
アルバート様たちとも合流し、アンダーソン家の方々に挨拶を済ませ、即戻ろうとしたクラリス様はなぜかルイス様に引き止められていた。
「ルイスがクラリスに話があるそうだよ」
「は、はあ……なんでしょう？」
戸惑いと『早く帰りたいのに！』という思いがダダ漏れなクラリス様の背中越しに、チラリと噂の『氷の騎士様』を見る。
見事な銀色の髪に涼しげな水色の瞳。アンダーソン家は代々王家筆頭騎士団団長を務めているそうで、なるほど、引き締まった身体をしている。そして、極めつけはその整った顔立ちである。固い表情も合わさって、『氷の騎士様』と呼ばれるのも納得だ。
その氷の騎士様はなにやら迷った様子を見せたあと、決心したようにまっすぐクラリス様を見つめて言い放った。
「クラリス・ルズベリー嬢。突然で申し訳ないが……このルイス・アンダーソンと婚約していただけませんか」
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作者名：お芋 | 作成日時：2019年10月16日 21時
