十二話 おかしい ページ12
最近、なんだかおかしいのである。
四人でティータイムを過ごすようになってから、解散時間がきっちり守られるようになった。私たち二人だけの時は、アルバート様が終わりたがらなくて、グレンさんが度々迎えに来ていたのだ。
でも、それがなくなったからグレンさんと会う機会が減ったかと思えばそうでもない。なぜか仕事中や食事の時間にばったり会うことが多くなった。気が合いますね、なんて話をして。仕事中に会えば、たまに私の仕事を手伝ってくれる。そんなに優しい人だっただろうか。
そうして過ごしていくうちに、今日は会えるだろうか、会ったらなんの話をしようか、なんて期待してしまう自分がいる。グレンさんとの会話は楽しい。近寄り難い雰囲気ではあるが、教養があって話がわかりやすいのだ。……まあ、たまに怒られたりもするのだけど。
そんな、グレンさんとの間の変化になんだかむず痒さを感じるのだ。
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アンダーソン公爵家に着き、目に飛び込んだ光景に思わず声をあげそうになるのをなんとかこらえた。
伯爵家もセンスの良い屋敷と庭園だったが、段違いである。これが家なのかというレベルの広さと豪華さに驚きを隠せない。
「何を変な顔をしてるんですか。行きますよ」
「はっ、はい。すみません」
グレンさんの声で我に返り、急いで後をついていく。いけない、いけない。仕事をきっちりこなさなくては。
私は名目上、クラリス様にお仕えしている使用人である。つまりはエマさんとほぼ同等の立ち位置だ。仕事はクラリス様の髪やドレスが崩れた時の手直しや、お菓子やちょっとした食事を主人の元へ運ぶといった具合だ。
公爵家は少し標高の高いところにあり、少し涼しく、今日は晴れているため外でのお茶会のようだ。
私は気合いを入れて、お茶会に臨んだ。
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作者名:お芋 | 作成日時:2019年10月16日 21時