八話 兄からの手紙 ページ21
その日の夜、私は兄からの手紙を読むことにした。
内容はいつもの『いつでもいいから一度顔を見せてくれ』『寂しくてしょうがない』『母さんの容態は……』『店の様子は……』といったものだった。
母や店の様子を教えてくれるのはいいけれど、兄の要望にはなかなか答えられそうにない。もうそろそろ一度顔を見せに行こうかと思っていたが仕事が忙しいのだ。
ふと、手紙がもう一枚あることに気づく。これをは兄ではなく、店に務めていた女性の店員さんが書いたものだった。内容は以下の通りである。
『ソフィアちゃん、お元気ですか。店の皆も私も元気です。今回はどうしてもお願いしたいことがあって店長(店長とは兄のことだ)の手紙にこっそり同封させてもらいました。率直に言うと、そろそろ店長に顔を見せに来て欲しいです。もう彼は限界で、ここ最近は仕事に支障をきたすレベルにひどいです。どうか一度帰って来てください。お願いします』
……どうしよう。
はっきり言って、妹と二、三ヶ月離れているだけでそんな状態になってる兄にはドン引きだ。しかもお店や店員さんにまで迷惑かけて……
これはさすがに一度帰って様子を見てこよう。
△▼△▼△▼
「聞いたぞ、ソフィア！俺に黙って明日から実家に帰るって！！」
「どこから聞いたんですか、その情報……」
そう。メイド長のミリアさんに相談すると、意外にも休暇を頂けることになり、とりあえず私は三日間家に帰ることにした。
そして今は帰省前日の休憩時間。ここは使用人の給湯室。今日も今日とてアルバート様とのまったりおしゃべりティータイムである。
「俺とは友達だって言ってたのに、黙って出てくなんて……ここが嫌になったのか？俺、何かした？いや、まあ、したけどさ……」
なぜかアルバート様は泣き出しそうだ。
いろいろツッコミたいことはあるが、彼は何か大きく勘違いしているようだ。
「そういうわけじゃありません。家族から一度顔を見せに帰ってきてくれと言われたんです。三日間帰省するだけですよ」
「なんだ！ここを辞めるんじゃないのか！」
途端にパアッと顔が明るくなった。最近アルバート様をなんだか弟のように感じる。下に兄弟のいない私にとっては初めての感覚だった。
「それじゃあ、明日から三日間私はいないのでこの時間も無くなりますね」
そう言って紅茶を一口飲もうとする私に、
「俺も行く！俺も、ソフィアの実家行きたい！」
と彼は言い放った。吹き出さなかった私を褒めて欲しい。
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お芋(プロフ) - シャル＠如月唯奈さん» 読んでいただいて、ありがとうございます！お褒めに預かり光栄です！頑張ります。ありがとうございます！！ (2019年9月18日 19時) (
レス) id: 105c0e2da2 (このIDを非表示/違反報告)
シャル＠如月唯奈(プロフ) - イベント参加ありがとうございます！早速読ませていただきました！凄く分かりやすくて良い小説ですね！何より主人公かわいい(*≧з≦)これからも更新頑張ってください〜 (2019年9月18日 19時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お芋 | 作成日時：2019年9月6日 17時
