三話 再会 ページ16
鍛錬場に入ると熱気と汗の匂いを感じる。今はちょうど休憩中なようで水を飲んだり、汗を拭いたり、ストレッチをしたりなど様々だ。
アーロンさん、ランドルフさんに手紙を渡し、残すはエヴァンさんのみとなった。
「あっ、いたぞ。エヴァンー!」
「おっ、アルバートじゃないか。久しぶりだな」
エヴァンさんとアルバート様はなんだか親しげな様子だ。鍛錬場裏の日陰にいたエヴァンさんは藍色の髪に琥珀色の瞳をしていた。
……やっぱりどこかで会ったような気がする。
「今日はどうしたんだ?」
「手紙を届けるついでに身体を動かそうと思ってさ。あ、紹介するよ。彼女はソフィア。確かエヴァンと同い年だったはずだけど」
「……ソフィア?」
アルバート様から私へ視線が移される。エヴァンさんは少し考えてハッとしたような顔をした。
「ソフィアって、あのソフィアか!平民学校で最初の二年間くらい一緒だった!おれのこと覚えてる?一回隣の席になったよな」
「あ、あー!めちゃくちゃ頭のよかったエヴァンくんだ!あー!」
「なんだ。二人は知り合いだったのか」
そうだ。あれから十年近く経ってるんだからパッとみてもわからないはずだ。
彼とは平民学校で二年生まで同じクラスだったけど、その後飛び級であっさり卒業してしまったのだ。あれからどこに行ったのか聞いてなかったけど、まさか伯爵家の騎士団に入っているとは。
「おれんとこ、騎士団長の家系なんだよ。平民学校は実際に守るべき領民の姿を見て感じるためってことで通ってたんだ」
なるほど。そうだったのか。そんな身近にこの領地を支えている人がいるとは思わなかった。世界は案外狭い。
「そうだったんだ。そうそう、はいこれ。エヴァンくん宛の手紙」
「ありがとう」
手紙を渡すとエヴァンくんは差出人の名前を見たのか、なんだか幸せそうに微笑んでいた。
「ああ、なんだ。姉さんからじゃん」
「えっ、クラリス様から?!」
「バカッ、お前勝手に見るなよ」
エヴァンくんは横から覗き込んだアルバート様から隠すように手紙をしまった。
でもどうしてクラリス様から?
「おれとクラリスは幼なじみなんだ。騎士団長の家系だって言ったろ。あいつが王都に行ってからたまに手紙のやり取りしてるんだ」
「そうだったんだ」
「もうすぐ夏季休暇でクラリスも帰ってくるだろうからもし機会があれば仲良くしてやってよ」
「うん、ぜひ」
そんな会話をしていると先程入口で声をかけた騎士さんから招集だ、と呼ばれた。
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お芋(プロフ) - シャル@如月唯奈さん» 読んでいただいて、ありがとうございます!お褒めに預かり光栄です!頑張ります。ありがとうございます!! (2019年9月18日 19時) (レス) id: 105c0e2da2 (このIDを非表示/違反報告)
シャル@如月唯奈(プロフ) - イベント参加ありがとうございます!早速読ませていただきました!凄く分かりやすくて良い小説ですね!何より主人公かわいい(*≧з≦)これからも更新頑張ってください〜 (2019年9月18日 19時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お芋 | 作成日時:2019年9月6日 17時