六話 謎の関係 ページ6
その後。
アリスお嬢様は私が一人で仕事をしている時に限り、頻繁に現れるようになった。どうやら彼女はおばけではないようだ。太陽が燦燦と降り注ぐ庭にいても実体を保っていたし、触れるし、温もりも感じる。人間であったことはいいとして、問題は彼女の奇妙な行動だ。
アリスお嬢様はやってくる度に何かを仕掛けて私を驚かし、その滑稽な様を見てはケタケタと笑っている。口調はお嬢様なのにやってることはとんでもないのだ。仕事の邪魔にはなるし、怒りたい気持ちを抑えて必死に顔に微笑みを貼り付けてるこっちの身にもなってほしい。
(使用人は感情を表に出さない!感情を表に出さない!)
ミリアさんに教えられたことを心の中で唱え、冷静に対処できてる、はずだ。それでもお嬢様はおもしろそうにこちらを見てくるけど。
あと、ミリアさんや先輩たちに見つかったら怒られるけど、アリスお嬢様と話す機会があったので気になっていたことを聞いてみた。
『わたくしはれっきとしたルズベリー家の人間よ』
『レディに年齢を聞くなんて……十歳よ』
『アルバート?生まれた時からの付き合いね』
『あの時どうしてあそこにいたかって?たまたまよ』
『あ!わたくしのことは誰にも言わないでね。お願いよ』
聞けば聞くほどよくわからない。無知は罪だなと思いながらもアリスお嬢様にずけずけといろんなことを聞いた。しかし、特に怒られることは無く、逆に楽しそうだった。謎だ。
そして、私はこれらのことを踏まえて次の結論に至った。
【アリスお嬢様はアルバート様の双子の姉が妹で、何らかの事情で存在が無かったことにされている】
だ。我ながらおかしいと思う。
口止めされているので誰にも相談できないし、彼女の相手をしている時に誰か来てもアリスお嬢様はどこかに行ってしまって目撃されることはない。
しかし、一週間ほど経ってそんなアリスお嬢様と私の奇妙な関係は、突然終わりを告げるのだった。
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お芋(プロフ) - シャル@如月唯奈さん» 読んでいただいて、ありがとうございます!お褒めに預かり光栄です!頑張ります。ありがとうございます!! (2019年9月18日 19時) (レス) id: 105c0e2da2 (このIDを非表示/違反報告)
シャル@如月唯奈(プロフ) - イベント参加ありがとうございます!早速読ませていただきました!凄く分かりやすくて良い小説ですね!何より主人公かわいい(*≧з≦)これからも更新頑張ってください〜 (2019年9月18日 19時) (レス) id: 0214723abe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お芋 | 作成日時:2019年9月6日 17時