17話 ページ18
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地下にあるという金庫を目指し、私たちはエレベーターに乗っていた。
途中地響きのような音がするのは、どうやら近くを流れる運河に通ずる地下水路の音らしい。
どのくらい降りただろう。エレベーターの扉が開けば、一面ホワイトな空間が広がっていた。
長い廊下は一本道。
ぐるりと見渡す。何もないように見えるところが、その警備体制の底知れなさを助長しているようだ。
ようやく見えてきたのは、身長を優に超える鉄の檻で。
レオンはその目の前に立つと何やら端末を操作し、最後に手をかざしてその部屋を開けた。
中は、筒状のつくりをしており、なんだか立体駐車場のようだ。一つ一つが引き出しのようになっていて見た目だけではどれに何が入っているのかわからない。
なるほど、さすがたくさんの貴重な品々を所有しているだけのことはある。
最新鋭の警備体制とでも言わんばかりで。
中にはこの金庫を操作する人が数名、意味ありげな端末を叩いている。
「下がってください」
レオンの一言で積まれた金庫の1つが降りてきた。
促されるままそれを覗き込むと青色の宝石。これが、ブルーサファイアらしい。……なんだか、結構普通の青色の宝石である。きっとこういうのを価値がわからないって言うのだろう。アーサー君も蘭ちゃんに抱っこされて、それを見ている。
「ここには防犯システムが備えられていますが、明日以降、大会会場は警備も手薄になる。」
たしかにそうだ。
ここに勝る警備体制が会場にあるとは思えない。
そう簡単に金庫を用意できるのであれば、中森警部も毎度苦労しないというものだ。
するとそれを聞いた快斗が口を開いた。
「つまり、怪盗キッドは明日、宝石を狙う、と言うことですね。」
そう問いかける。レオンも頷く。
「ここを狙うにはリスクが高すぎる。」
「ですね、僕も微力ながら協力させてください。」
快斗がレオンに向けて手を差し出した。
驚いた顔をするレオン。
警備体制が高いというその言葉を今、目の前で聞いたというのに。なにか、彼なりに考えでもあるのだろうか。まあ、どうでもいいか、と目をそらす。
二人の間で握手が交わされる。シンガポールと日本の探偵の共同戦線。
いや、快斗がこういうことをするときは、大抵。
「…!ありがとう。」
指紋を盗るときだ。どうやら作戦実行は今晩らしい。
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羽沢(プロフ) - 続きが読みたいです!パスワード教えてください🙇♀️ (5月6日 18時) (レス) @page19 id: c6b36eecb2 (このIDを非表示/違反報告)
琉星(プロフ) - 続きが読みたいのでパスワード教えて頂きたいです (4月30日 11時) (レス) @page19 id: 7ae148b3cd (このIDを非表示/違反報告)
ゆずちゃ(プロフ) - 今読ませていただいてとても素敵な作品だったので続きを読みたいと思ったので是非パスワードを教えていただきたいです! (4月30日 8時) (レス) id: a45d125949 (このIDを非表示/違反報告)
くり - 続きを読みたいです!パスワードを教えていただきたいです! (4月24日 18時) (レス) id: b0169ec3e3 (このIDを非表示/違反報告)
あいり(プロフ) - パスワード教えていただきたいです (4月23日 4時) (レス) id: fefd0b677e (このIDを非表示/違反報告)
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