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理想主義者第四十話 ページ43

『何のつもりだ…!太宰…』



おい、止めろ。その手を離せ。





「何でも」




恐ろしく冷たい声が、耳に入ってくる。





『…屋上で何があった』



「あれ、居場所、知ってたの」



太宰は少し驚いた様子で、Aの手を強く握る。




『その手を、離せ』




勝手に口走っていたその言葉。




「矢張り、何時も一緒に居るからかな?」





うす気味悪い笑みを浮かべながら、俺の言葉を遮る様に太宰は喋る。




『…俺は昔からAの親友だぞ』




『これ位、当然だ』




「へぇー…」



彼奴は、何やら面白い事を思いついたのか、ニコニコと笑っていた。





『如何した。頭でもイカれたか』



「フフーン、楽しい事を思い付いたのだよ」



と、口角を上げ、俺に向かって愉快に笑って見せた。







また、Aを怖がらせるのか?Aの生活を狂わせるのか?









Aと俺との関係を壊すのか?




巫山戯るな。






『面白半分でそいつと関わるなら、二度と俺達に近付くな』



「君にそう云った権利があるとでも云うのかい?」


強めな発言に、俺はグッと堪える。









云いたい言葉は幾らでもある。





でも、声が…出ない。









固まる俺を見て、彼奴は嘆息を吐き、






「君はAを任せられない」






冷静な声色で、俺に告げた。




鋭い言葉が胸にポッカリと穴を開けた。





『…ッ』



「自分の本心を否定し続けた結果がこれだよね」




「君は、最近でしょう?」




「この子に向けてる気持ちに気付いたのは」





「何回か、チャンスはあったのにね」





「違う、違うと云い続けて」




「逃げて来たんでしょう?」




「自分を見失うような奴に、一人のか弱い女性を」





「任せられると思うかい?」




一息ついた彼奴は、薄らと笑った。




その笑みは、俺の瞼の裏にしっかりとこびり付いた。


















何も云えなかった。







その通りだったからだ。

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作品ジャンル:恋愛
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黒バイ(プロフ) - 闇川幽鬼さん» レス送る人間違えていますよ。 (2019年4月8日 7時) (レス) id: bfca25752a (このIDを非表示/違反報告)
闇川幽鬼 - なので真夜さんが24話と25話の間で書いていた気持ち良く解ります!これからも頑張って下さい! (2019年4月8日 0時) (レス) id: 0339c9b694 (このIDを非表示/違反報告)
闇川幽鬼 - 黒バイさん» 初めて無気力の高校生活読みました。面白かったです。自分は独歩様推しですけど周りに同じ人がいません。大抵の人が独歩様を困らせる包帯無駄使い装置の奴が推しなんです…なんで迷惑噴射機の方が人気なのか解りません!独歩様の方がカッコよくて可愛いのに… (2019年4月8日 0時) (レス) id: 0339c9b694 (このIDを非表示/違反報告)
黒バイ(プロフ) - これからもファイトです!応援しています。 (2019年3月21日 16時) (レス) id: bfca25752a (このIDを非表示/違反報告)
狼虎(プロフ) - 更新頑張ってください!国木田さん推しはいつまでも。 (2019年2月14日 20時) (レス) id: 467c6bdb15 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:真夜 x他1人 | 作成日時:2018年5月13日 9時

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