『こんな事』なんかじゃない ページ42
「貴方と、ジャミル先輩と本気でぶつかりたかった。マジフトで、真っ向から僕の育てたオクタヴィネル軍団に立ち向かうスカラビアを見たかった。それなのに防戦一方……貴方が前に出て小隊を組めば僕らの包囲網なんて崩れ去っていた筈なのに……」
「ラドル……」
あの時ジャミル先輩はカリム寮長から一時たりとも離れなかった
アジーム家の次期投手に怪我でもあればそれは恥となり責められるのはジャミル先輩だからだ
だから離れなかった
そして負けた……
スカラビアの一点はジャミル先輩がサポートにサポートを重ねてカリム寮長に撃たせた物だった
ジャミル先輩が撃った方が早かっただろうに……
「わかってるから、わかってるから辛いんです……戦えなかった事が、輝く貴方を間近で見れなかった事が……悔しくて悔しくて堪らない……！」
拳を握りしめてうなだれる
あぁ、ドン引かれたかな
所詮後輩の独りよがりだし願望でしかない
でも僕はそれでも言わずにはいられなかった
カリム寮長のあの一言が頭から離れない
『まぁこんな事もあるだろ！』
何が『こんな事』だ
ふざけるな
負けたんだぞ
お前がそう思ってても悔しさと敗北に身を焦がす奴だっていた筈だ
ジャミル先輩だってきっとそうだった
上に立つ者の癖に下々の事なんて頭の隅にもないのだろう
それがこの悔しさを余計に加速させたのだ
項垂れる僕にジャミル先輩は言った
「……お前位だよ、俺なんかに本気で泣き出す奴は。」
「へ？……あ。」
頬に触れれば確かにびっしょりと濡れていた
汗ではない
熱い涙が滝の様に流れ出ていた
「す、すみません！お見苦しい所を……」
僕はすぐに涙を拭いた
あー情けない……
呼びだした挙げ句これか……トホホ……
「いや……君の言葉が聞けてよかった。そう言って貰えて……俺をわかってくれて嬉しかった。」
「え？」
「こうして人がいない場所と時間を選んでくれたのもこの事が誰かに聞かれない為なんだろ？」
「……！……お見通しですか。」
「そりゃあ俺だからな。」
フフンと笑うジャミル先輩に僕も顔が綻ぶ
それでこそジャミル先輩だ
「また今度宴を開く事があったら呼ぶよ。その時はまた君のカレーカップケーキを食べたい。俺への慰めだと思って頼まれてくれないか？」
「そんなとんでもない！それ位朝飯前です！喜んで！」
「ハハ！君は本当に素直で良い奴だな。楽しみにしてるよ。」
「はい。」
「じゃ、勉強頑張れよ。今度こそ一位取ってやれ。」
「勿論！」
こうして僕等はそれぞれの寮へと戻った
よし、こうなればいつ来ても良いようにカレーの研究に勤しもう
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あんかけうどん(プロフ) - おぞうにさんさん» ありがとうございます！そのお言葉だけで報われます！これからもがんばります (2022年2月8日 0時) (
レス) id: c40c888944 (このIDを非表示/違反報告)
おぞうにさん(プロフ) - はじめまして、！！とっても面白くて、時間も忘れて一気に読んでしまいました、、！！これからも更新頑張ってください！！ (2022年2月8日 0時) (レス) @page49 id: 7bfb9453e4 (このIDを非表示/違反報告)
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