捨て去った過去 ページ30
フッと体が軽くなって自分が体から外に出た様に感じ、目を開けると目の前に自分がいた
「これが……」
僕の体は半透明になっていて、ランドールが入ったであろう本体の方は顔に鱗が浮き出し、開いた目は濃い緑になっていた
ランドールは立ち上がると自慢気に言った
『どうだ中々だろ？あぁ、外から見ているように感じるだろうが実際は中にいる。お前が外から俺の講義を見たいと望んでいるからこうなっているだけでお前自身はちゃあんと俺のここにいる。』
そう言ってランドールは自分の心臓部をトントンとつついた
「ふぅん。」
自分の胸を見ると前ランドールの手の中にあった二色の魂が浮いていた
『下手に触るなよ。やり方間違えたらお前も死ぬぞ。』
「わかった。」
『よし、じゃあ始めるぞ。』
シー……
指先を口許に当ててシーっと息を吐く
魔力が体に薄く纏わりつく
それが全身を包むとランドールは詠唱を始めた
『一人ぼっちの暗闇で』
『不気味な音に目を覚ます』
『不安に呑まれたその先は』
『魂も抜ける恐怖の一夜』
『叫べ、泣き喚け、俺こそが恐怖の調達屋』
『__聞こえる？
詠唱が終わるとスッとランドールの姿が見えなくなった
見えなくなったといっても僕からはうすーく見える
でも多分消えているのだろう
『ま、こんな感じだ。』
「詠唱が完全に悪党のそれなんだけど……」
『いいんだよ。これは俺のユニーク魔法であってお前はついでで使えるだけ。俺にピッタリの詠唱だろ？』
悪どく笑う彼に僕は何だかもやついた
確かに彼は悪役だ
でも最初から悪役だった訳じゃない
大学時代の彼はお人好しで真面目な好青年だった
マイクと初めて出会った時など俺達絶対に親友になれるよとまで言っていた程だ
それが色々あって仲違いし、サリーが脅かした時の衝撃でハート模様のマットレスの上に落ちて所属していたチームでは最低得点を取り、皆に失望され、そこから捻くれてしまったのだ
「昔は違ったんじゃないの？」
そう言うとランドールはギロリと睨んできた
『昔の話はやめろ。あれはもう捨てた過去だ。思い出したくない。あんな醜態も自分の甘さ加減もな。』
顔をしかめるランドールに僕は何も言えなかった
まぁ僕も過去の事を指摘されたら嫌だ
流石に配慮が足りなかったな
「ごめん。」
『……ちっ。さっさと終わらすぞ。ったく、お前見てると昔を思いだしちまう。』
ランドールは不機嫌そうに舌打ちをしたがすぐに切り替えて指導にあたってくれた
流石No,2のエリートだっただけある
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あんかけうどん(プロフ) - あんぱんさん» ありがとうございます！ (9月14日 22時) (
レス) id: 8768b9e08b (このIDを非表示/違反報告)
あんぱん - ランドール好きなのでうれしいです！ 面白かったです！ (9月14日 22時) (レス) @page28 id: f2f05df21c (このIDを非表示/違反報告)
あんかけうどん(プロフ) - 竜の騎士さん» ありがとうございます！嬉しいです！ (2021年12月10日 17時) (レス) id: 91a4551153 (このIDを非表示/違反報告)
竜の騎士 - はじめまして。最初から読んでみましたが、とても面白くてすぐにハマりました！更新楽しみにしています！ (2021年12月10日 13時) (レス) id: 796a1a3707 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんかけうどん | 作成日時：2021年11月25日 4時
