お前が知ってるあいつもオレも同一人物だ。 ページ16
ネロは恐怖のあまり何も応えられなかった。
足の震えも止まらず、立ち上がることさえできない。
A) …そうか。なら、そのまま大人しくしていろ。
楽に殺してやる。
Aの周りに次々とナイフが出現し始めた。そのナイフ達はまるで意思を持つかのように、1人でにAの周囲をふわふわと浮き続けている。
ゴン) ！！ あれは、念？！
キル) あいつ、一体どこまで…？！
A) これ位で十分か。
30本程でた所で、ナイフの出現が止まる。
そして、Aはネロに指を指す。
同時に、ふわふわと漂っていたナイフ全てがネロに狙いを定めるように刃を向けた。
ネロ) ひっ、ま、まって、参っ(( ダメだ。
ネロは必死に場外へ逃げようと地面を這う。
その瞬間、ナイフが2本、両足に突き刺さる。
ネロ) グァッ！
A) 動くなと、言っただろう。
…安心しろ、痛くはしない。
すぐに楽にしてやるから、オレに身を委ねればいい。
Aの微笑は後光がさしそうな程、美しかった。
自然と、ネロの頬を涙が伝う。
瞬間、28本余りのナイフが一斉にネロの急所、急所を目掛けて突き刺さった。
動かなくなったネロの顔は驚くほど安らかだった。
会場内が歓喜に湧き上がる中、ゴンとキルアは息を飲んだ。ネロを見下げて佇むAの後ろ姿が、2人には果てしない程遠く感じていた。
_
ヒソ) お疲れ様♡いい試合だったよ♠
Aが会場から戻る通路で、ヒソカが壁によりかかり待っていた。
Aの目は一瞬ヒソカを捉えたあと、興味もなさそうにﾌｲと逸らされる。
そして、また歩き始めようとするAの腕をヒソカが掴む。
ヒソ) 君は、一体誰なんだい？
ヒソカが瞳を細めてそう問掛ける。
Aは後ろを振り向いて、真っ直ぐヒソカを見上げる。
A) …A。
お前が知ってるAもオレも同一人物だ。
そう言って、ヒソカの掴む手を振り払い、踵を返して会場を後にした。
ヒソ) …やはり、蝶、か♧
ヒソカは1人、愉しそうに笑いながらそう呟く。
金髪のAの左胸に、薄く蝶のような形をした痣が現れていた。
ヒソ)( …傷じゃない。あれは、刻印…なのかな？
一体、誰がなんの為に、彼に印を付けたのか…♣)
ｸｸｸ …まるでお姫様だね❤
奪われ合う運命を背負った悲しいプリンセス…♧
_次の日
ヒソカはAの部屋を訪れていた。
いつもなら、自分からヒソカの部屋を訪ねてくるAの姿が今日は見当たらなかったからだ。
ヒソ) …入るよ。
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作者名：シロ | 作成日時：2020年1月16日 11時
