息があるな。 ページ9
Aは目の前の怪物級の大きさの獣と対峙しながら獣と出会った1週間前のことを思い出していた。
否、多分1週間位と認識していただけだが。
日の出と日の入りを数えていたので正確なはずだ。
A) …そうか、もう1週間か！
ﾋｭｯ
ﾄﾞｺﾞｫ!!!
今まで何度肉球パンチをくらったか分からないな。と苦笑したのもつかの間Aは重大な問題を思い出した。
A) あぁ！まずいぞ、まずい！
もう1週間経ってるってことは…クロロが!!!
…絶対怒られるな。。。
怒られることを恐れてか、このままバックれてしまおうか。などと悩んでいたその時だった。
ｿﾞｸｯ
A) ?!ッ？！誰だ！！！！
背後に、実際自分には向けられたことが無い程の殺気を感じた。
咄嗟にAは、後ろを振り向き戦闘態勢に入った。
戯れモードから一転、一気に周囲の空気がピンと張り詰めた。
？) …へぇ。そんな顔もできるの、お前。
木陰から背の高い細身の男がでてきた。
長く艶のある黒髪が美しいため、声を聞かなければAは女と勘違いするところだった。
A) (こいつが、今俺に殺気を…？)
つい先程まで殺気を飛ばしていたとは考えにくいほどすんなりと姿を現したところと、相手に考えを悟らせにくい飄々とした態度にAの警戒が一瞬緩んでしまった。
そこを、狙われたのだ。
ｼｭｯ
A) ッ！！
針が飛んできた。飛ばす素振りはほとんど見えなかったが恐らく目の前の男が飛ばしたのだろう。
危うく殺されるところだった。
Aは初めて、人に殺されそうになる感覚を知った。
血が、滾る。
？) うん、よく避けたね。凄いじゃん。
Aは男の関心の言葉と同時に走り出した。素早く懐に潜り込み、めいっぱい男の顎を蹴りあげた。と、同時に少し浮いた男の腹めがけて蹴り飛ばした。
ﾄﾞｺﾞｫ!!!
小さな体からは想像できないほどの威力に男は驚いていた。同時に相手を脅威であると確信した。
A) …まだ、息があるな。
そう言った少年の手には小型のナイフが持たれていた。少年も男を殺す標的と決めたらしい。
男は倒れた体を瞬時に起き上がらせ針で応戦した。
ﾋｭｯ
ｻﾞｯ
山の中には両者の踏み込む音、針の飛ぶ音、ナイフを突き刺す音だけが響いていた。
？) (やっぱりこいつ、思ってたより強いな。
まさか、俺がここまで応戦されるとはね…)
その時
？) ？
(こいつ、さっきと何かが違う…
髪の色が…？)
Aの容貌に変化が現れていた
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作者名：シロ | 作成日時：2019年11月3日 22時
