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今日も一週間ぶりに、クロロは森に足を運んでいた。
沢山の本を持ちながら入口でAを待っていても、一向に来ない。
そして、森の中が騒がしい。
森に入って様子を伺うと住民たちが、何やら集まって話しているのが見えた。
森の住民の、どこか落ち着かない様子から、不安な気持ちが、動物の言葉のわからないクロロにも伝わってきた。
クロ) (何か、嫌な予感がするな)
…どうしたんだ?
クロロは話を聞こうと集団に近づいた。
自身の不安を悟らせまいと、いつものように冷静に振る舞いながら、森の長であり、唯一、人と話せる"猿"に問いかけた。
長) ッ!主は……。ということは…。
いや、しかし…
クロ) どうかしたのか、と聞いているんだ。
クロロに伝えようか伝えまいか悩んでいる長にどうしようもなく心をかき乱され、感情が高ぶる。
この時点で、Aが目の前にいない。
この状況から、最悪の答えが帰ってくるのを知りながら。それでも聞かずにはいられなかった。
長) Aが、、帰ってこないのだ。
クロ) Aが、帰らない?
クロロは驚きと同時に少し安心した。
まだ、この世に留まっているAの存在に安堵したからだ。
昔から、Aは強かったが酷く儚く消えてしまいそうな雰囲気を醸し出していた。
クロロはAの、息を飲むような容貌の美しさによってかいつ壊れてもおかしくないと感じてしまっていた。
人知を超えた身体能力を持ち、動物と会話をできるという特殊な能力まで備えているにも関わらずだ。
クロロは心のどこかで、まだAを人間と信じることが出来ていなかった。
そのため、Aがいつ急に自分の目の前から、この世界から消えるか気が気ではなかったのだ。
クロ) ……いつからだ。
長) ちょうど1週間ほど前から。
あやつは元々好奇心が旺盛でな。
勝手に外界に遊びに行くこと自体はよくあることなのだが……
それでも長くとも3日ほどで帰ってきていたのだ。
主が来るとなったら尚更。
早く帰ってきて出迎える用意をするはずなのだ。
しかし、今回は……
クロ) 1週間…。
つまり、クロロが以前来てからすぐどこかへ発ったということだろうか。
クロ) (知らなかったな。Aが外に出ているとは。)
それもそのはずだった。Aは何よりもクロロとの時間を楽しみにしていたため、クロロとの約束の日には必ず出迎えの用意をして待っていたのだから。
クロ) (A…。一体どこに…)
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作者名:シロ | 作成日時:2019年11月3日 22時